第6話:公開対決、そして“格の差”
【緊急特別配信:Sランク対決】
その文字が表示された瞬間、世界中の視線が集まった。
同時視聴者数:42万 → 58万 → 73万
「……マジかよ」
さすがに引く。
もう“個人配信”の規模じゃない。
『きたああああああ』
『歴史的瞬間』
『サーバー落ちるぞこれ』
画面が分割される。
左に俺。
右に――
「待たせたな」
金髪の男、レオ。
余裕の笑み。
完全に“王者”の顔だ。
「新人」
「ユウマだ」
「どうでもいい」
レオは軽く笑う。
「お前が“本物”かどうか、ここで分かる」
『バチバチで草』
『空気やばい』
「ルールはシンプル」
レオが指を鳴らす。
「同じダンジョン、同じ条件」
その瞬間、画面に表示される。
【特設ボスエリア解放】
「……なんだこれ」
アカリが横で小さく呟く。
「公式が用意した“検証フィールド”よ」
『運営も乗ってきて草』
『完全にイベント』
レオが続ける。
「同時にスタート」
「どっちが先にボスを倒すか」
「単純だな」
「逃げ場はねぇぞ?」
レオの視線が鋭くなる。
「“運だけ”じゃ勝てない」
「……どうだろうな」
その時。
【カウントダウン開始】
5
「ユウマ」
アカリが小さく声をかける。
「無理はしないで」
「大丈夫だ」
4
「どうせ――」
3
「全部当たる」
2
「全部避ける」
1
【START】
同時に、俺たちは駆け出した。
ダンジョンは一直線。
奥に、巨大な気配。
「……速いな」
レオは、すでに前を走っていた。
動きが洗練されている。
無駄がない。
『さすがトップ』
『これは強い』
「でも――」
俺は、息を吐く。
【スキル発動:《確率支配(バグ)》】
世界が、変わる。
「見える」
最短ルート。
最適な動き。
すべてが“確定”する。
「ここだ」
足を踏み出す。
その瞬間。
床の一部が崩れた。
『罠きたあああ』
『落ちるぞ!?』
だが――
「踏まない」
ギリギリで回避。
まるで最初から分かっていたかのように。
「……やっぱズルだなこれ」
一気に加速する。
「なっ……!?」
後ろから、レオの声。
「いつの間に……!?」
『抜いたあああああ』
『速すぎるだろ』
そして――
ボス部屋。
「グオオオオオオ!!」
巨大な魔物。
圧倒的な威圧感。
『これヤバいやつ』
『Sランク案件』
「……来たな」
同時に、レオも到着する。
「ほう……やるじゃねぇか」
「そっちこそ」
一瞬の視線。
次の瞬間――
「行くぞ!!」
レオが先に飛び出す。
圧倒的な攻撃力。
重い一撃が、ボスに叩き込まれる。
『強ええええ』
『さすがトップ』
「……確かに強いな」
だが。
「当たれば、な」
【スキル発動:《確率支配(バグ)》】
ボスの動きが、遅く見える。
「ここ」
一歩踏み込む。
回避。
攻撃。
――ザシュッ
急所。
「……は?」
レオの動きが止まる。
『今の何!?』
『一撃!?』
「終わり」
もう一撃。
――ドンッ
【ボス討伐完了】
静寂。
そして――
『はあああああああああ!?!?!?』
『早すぎるだろ!!!!』
『格が違う!!!!』
視聴者数:73万 → 95万 → 120万
「……嘘だろ」
レオが、呟く。
「こんなの……」
その顔から、余裕は消えていた。
「ありえねぇ……」
「……そうかもな」
俺は肩をすくめる。
「でも、勝ちは勝ちだ」
コメント欄、完全崩壊。
『覇権確定』
『新時代きたあああああ』
『ユウマ最強!!!!』
そして掲示板では――
【確定】バグ配信者、世界一になってしまうwww
その日。
世界のトップが、入れ替わった。
「……面白ぇ」
レオは、ゆっくりと笑った。
「気に入ったぜ、ユウマ」
その目には、もはや敵意はない。
「またやろうぜ」
「……ああ」
こうして――
俺の“普通じゃない人生”は、
完全に始まった。
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