第58話  夜明けの船(Codename: Ship of Dawn) 第四話「微かに響く空調とお腹の音」

空調の音が微かに響く室内に、コルヴォ博士、モーヴァ、ユーマの3人はいた。


博士は、尋問室でのやり取りで何が起きたのか理解した。


理解はしたが、どうすることもできない。


ギラン隊長を待つしかないのだ。


「わたし、お腹が空いて何もできません」


困り顔でユーマが言う。


「わたしもです」


モーヴァも珍しく訴える。


2人は自分のお腹を見ている。


「モーヴァ、お腹が鳴いてもびっくりしないで!」


「ユーマさん、分かりました。ユーマさんのお腹の声を聞いても、びっくりしません」


モーヴァはユーマに答える。


「ちがうよ。わたしもだけど、モーヴァのお腹もだよ。突然鳴くからね!」


ユーマはクスッと笑った。


モーヴァもつられて微笑む。


少し元気が出た。


---


博士は椅子から立ち上がると、ドアに近づいた。


「監視の人、食料と飲み物をくれないか? ここに連れて来られてから、何も口にしていない。我々はギラン隊長を待てと聞いている」


博士が監視の隊員と話している。


隊員は通信で担当者に聞いているようだ。


「分かった。何か用意しよう。少し待ってくれ」


隊員はそう答えると、廊下を歩いていった。


その足音が、遠ざかっていく。


博士は席に戻ると、ユーマとモーヴァに食べ物が用意されると伝えた。


ユーマは喜び、モーヴァはホッとした。


そのとき――


「グー!」


それは、3人に聞こえるほど大きく鳴った。


---


外縁宙域監理局から支給されたのは、ハンバーガーと、薄い黄金色の水が入ったコップだった。


ハンバーガーは、地球のものと見た目は変わらなかった。


ユーマはハンバーグが入っているのが嬉しいらしく、持ってきた隊員にサムズアップをしている。


モーヴァは、薄い黄金色の水を飲んでみた。


「これは、水じゃないです。味はお茶みたいだけど……栄養補給水です」


モーヴァは何かを感じ取ったのか、博士に言う。


博士は頷くと、飲んでみた。


「ゴクリ」


喉が鳴る。


確かに、お茶の味がする。


今度はハンバーガーを口に運ぶ。


「パクリ。もぐもぐ」


想像していた味とは違う。


だが、不味くはなかった。


「博士、不思議な味ですね」


モーヴァが博士に言う。


2人は似た味を探しながら食べている。


「ユーマさん、変わった味ですが、不味くはないですよ!」


モーヴァがユーマの方を向いた。


「ごちそうさまでした」


ユーマは両手を合わせていた。


「モーヴァ、おやつも出るかな?」


ユーマは物足りなさそうに聞いた。


「もうすぐギラン隊長が来られますから、待ちましょう」


モーヴァはユーマをなだめるように言った。


コルヴォ博士は、横目で二人のやり取りを黙って聞きながら、最後の一口を口に入れた。

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