第57話 夜明けの船(Codename: Ship of Dawn) 第三話「ワブボボ入国管理局の長い一日」

薄暗い部屋に閉じ込められたコルヴォ博士、モーヴァ、ユーマは、かたまって座っている。


何が何だか理解できないまま連行され、部屋に入れられたのだ。博士は、事の経緯を振り返って考えていた。


---


突然の光と共に、宇宙船に響く声。


「止まりなさい! 都市惑星ワブボボの入国許可証を確かめるため、乗船する!」


5分も経たないうちに、宇宙船は停止し、船内のシステムも停止した。


船内に白い目が入ってくる。


彼らは問答無用で三人を取り囲み、何か言おうと声を上げた瞬間、音が鳴って意識が飛んだ。


気がつけば、この部屋だ。


モーヴァもユーマも、気がついたらこの部屋だったらしい。


三人とも怪我はしていなかったが、ユーマは困った顔をしている。


---


「ユーマ、どこか痛いのか?」


博士は声を掛ける。


「ユーマさん、心配しないで。博士がいますから」


モーヴァが元気づける。


「わたし、お腹空いた。でも、この部屋、何もない。わたし、困る」


モーヴァも困った顔をする。


博士は白衣のポケットからキャンディーを出すと、ユーマとモーヴァに渡した。


二人は博士にお礼を言い、キャンディーを口に入れた。


二人とも少しだけ落ち着いたみたいだ。


---


薄暗い部屋の扉が開く。


「担当の者が来た。尋問を始める。着いてこい!」


そう言うと、白い目に挟まれる形で廊下を歩いた。


三人の前にドアがあり、その部屋の中では二人の人物が椅子に座って待ち構えていた。


白い目は敬礼すると、戻って行った。


「そこに座ってください」


静かで落ち着いた声だった。


三人は並んで座った。


---


目の前には二人の人物がいる。


一人は機械、あるいはロボットのような見た目の、落ち着いた声の人物。


もう一人は、いかにも軍人といった感じの、赤い肌の厳つい人物だ。


「何だ? 白いちんちくりんが2人いるぞ! しかめっ面の奴と!」


赤い肌の軍人が、にらみを利かせる。


「なんかペパーミントの匂いもするし? ユーリ、この部屋の芳香剤か?」


赤い軍人が隣に聞く。


「T.リーダー、この部屋には使われていませんし、この建物自体、芳香剤は使われておりません」


ユーリが答える。


「だろうな! 外縁宙域監理局が洒落たことするわけないしな! アハハ!」


赤い軍人は笑っている。


---


「では、尋問に入ります」


ユーリが始めた。


「あなた方はどこから来て、何のためにワブボボに行くのか? そして、あなた方の名前を答えてください」


ユーリは淡々と質問する。


「早く答えた方がいいぞ! こう見えてユーリは怖いぞ! 怒らせると目からレーザーが発射されて、お前らを焼き尽くすからな!」


赤い軍人はユーマたちを見渡し、脅す。


「俺はユーリと違って優しいぞ! 聞いてやるから答えろよな!」


赤い軍人は笑顔を見せる。


---


「わたし、探検隊。探検しに来た」


ユーマは誇らしげに答える。


「ユーマさん、違いますよ! SOSのメッセージを受けて来たんです」


モーヴァが小声でユーマに言う。


「白いちんちくりんは何を言っているんだ? ユーリ、分かるか?」


「T.リーダー、まったく分かりません!」


ユーリが答える。


「もう片方のちんちくりんは、縮こまっているし、白衣のあんた! 説明しろ!」


赤い軍人はコルヴォ博士を指さした。


---


「フゥー」


息を吐いた博士は、話し始めた。


「私たちは、地球という青い惑星から来た。目的は、私に届いたSOSにここの航路が付属していたからだ。


私の名前は、Dr.コルヴォ。青いリンゴを乗せているのは、ユーマ。赤いリンゴを乗せているのは、モーヴァだ」


博士の言葉は短く、適切な説明だった。


---


「地球? なんか聞いたことあるような、ないような? ユーリ、調べてくれ」


ユーリはガジェットを取り出すと、調べ始めた。


「分かりました。T.リーダー、ホログラム映像を出します」


ユーリの前に地球の映像が映し出された。


「T.リーダー、外縁宙域監理局所属の観測部門、フィールド観測チームBeyond Tracker(B.T)リーダー、ギラン=カーン、通称:ギラン隊長の元宇宙防衛軍『VOID CREW』の管轄でした」


「ギラン隊長だ!」


ユーマが立ち上がって小躍りする。


「**ギラン=カーン!** アイツかよ。ユーリ、すぐ連絡を取って奴をここに来させろ!」


赤い軍人は、ふてくされた表情でユーリに指示を出す。


---


「お前ら、ギランを知っているようだな! 奴をここに呼んだ。後はギランに任せるから、元の部屋に戻れ!」


「ユーリ、奴に**『地球のお友達が待っているからすぐ来い』**と念押ししろ!」


赤い軍人はプンプンしているが、顔は笑っていた。


「面倒くさいのは奴の仕事だ」


赤い軍人はそう言うと、部屋を出て行った。


「要人警護もあるし、忙しい日だぜ。あいつら真面目に警護してるのかな?」


赤い軍人は「やれやれだぜ」という仕草を見せて、廊下を進む。


---


「監視の隊員を呼びました。それと、ギラン隊長も来るでしょう。部屋でお待ちください」


ユーリはそう告げると、部屋を出て行った。


取り残された三人に、監視の隊員が退室を促した。


三人にとって、ギラン隊長が来ることが望みの綱となった。


---


コルヴォ博士、モーヴァ、ユーマの行方は……どうなるのやら?


三人には予想もできなかった――


だが、この出会いが運命を大きく動かすとは、まだ誰も知らない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る