第48話『星空の宇宙船譚①』ー宇宙船を作れとユーマが言っているー
ある日、ユーマが妙に深刻な顔で研究所へやって来た。
コルヴォ博士をじっと見つめる。
「わたし、探検隊。なのに……宇宙船がない!」
「これは、許しがたいこと」
「探検隊じゃない……そんなの、あってはならない」
「博士が許しても、わたしが許さない!」
博士は思わず口をぽかんと開けた。
「大ちゃんも、ギラン隊長もあるのに、わたしだけないのはおかしい」
「博士も、そう思うでしょ?」
ユーマはいつになく饒舌だった。
そこへモーヴァが紅茶を運んできた。
「モーヴァも宇宙船ほしいでしょ?」
「モーヴァもほしいし、わたしもほしい!」
モーヴァは立ち止まり、博士とユーマを交互に見つめる。
博士が問いかけた。
「……私に、宇宙船を作れと言っているのか?」
ユーマは深くうなずいた。
「モーヴァも博士にお願いして!」
モーヴァはユーマのまねをして、頭を深々と下げる。
その拍子に赤いリンゴがコロリと転がり落ちた。
「なぜ、私に頼むんだ」
「博士、頭いい。何でも作る天才!」
博士は黙り込み、しばらく考え込む。
ユーマは頭を下げたまま、ちらりと博士の顔色をうかがった。
長い沈黙の末、博士がおれた。
「……わかった。宇宙船を作ってやろう。ただし、時間も金もかかるぞ」
ユーマは飛び跳ねて喜び、その場でダンスを始める。
「博士、できたころに来るからね! わたし、ちゃんとわかるから!」
喜びながら研究所を後にするユーマ。
テーブルには、いつの間にか貝殻がひとつ置かれていた。
博士は「やれやれ」といった表情を浮かべながらも、さっそく宇宙船の資料を調べ始めた。
モーヴァはリンゴを拾い、紅茶を入れ直しにキッチンへ向かう。
湯を沸かしながら、無表情でつぶやいた。
「博士の顔が、一瞬にやけたのは……なぜだろう?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます