第44話『観光案内』 第一話 出発

ピップは実家に寄り、旅の準備をしていた。


準備といっても、宇宙船を借りに来ただけ。すぐに出発するつもりだ。


ガレージには何台かの宇宙船が並んでいたが、ピップは迷わず一台の前に立った。


それは古い型の小型宇宙船だった。


「おじいちゃんが愛用してたんだよな……」


手入れは行き届き、メンテナンスも続けられている。


懐かしさを胸に、ピップは操縦席へ座り、座標を打ち込んで宙へ出た。


今回の旅は、ユーマを連れていく。


待ち合わせ場所も連絡済みだ。


光の輪を抜けると、約束の座標が広がる空間に出た。


そこには、手を振るユーマの姿があった。


「大ちゃん! どこに連れて行ってくれるの?」


挨拶もそこそこに笑顔で問いかけるユーマ。


ピップは答えず、ユーマを船に乗せ、すぐに出発した。


自動運転に切り替えたところで、ピップは謝った。


「ごめんよ、ムー。目的地のことを考えたら、早く出発したくて。怒った?」


ユーマは気にもせず、おやつを食べている。


気を取り直し、ピップは旅の目的地について話し始めた。


「惑星K-0195。通称クーギャ。僕の星と同じ銀河にある、不思議な惑星だよ。着いたら驚くよ!」


だがユーマは席を立ち、船内をきょろきょろ眺めていた。


「大ちゃん、この宇宙船古いね! 丸っこくて好きー。わたし、探検隊! 大ちゃんも探検隊!」


ケラケラ笑う声が船内に響いた。


静かになったと思ったら、ユーマは眠っていた。


ピップはその間、記録用の機器を整備し続ける。


やがて船内アラームが鳴り、到着一時間前を告げた。


ユーマは目を覚まし、伸びをしながら言った。


「大ちゃん、お腹すいた~!」


「ムー、あと一時間で着くよ。」


「えー、お腹グーグー、ペコペコ~♪」


歌い出すユーマに、ピップはため息をつき、操縦を手動に切り替えた。


「近くのステーションに寄る。何か食べよ。」


ユーマは窓の外を指さし、目を輝かせた。


「発見! ご飯の補給ステーションだー!」


ユーマは勝ち誇っている。


ピップは呆れつつも、思わず笑ってしまった。


つづく

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