第29話『ネコはお話が好き――ユーマとトラ』

ユーマは、公園に出かけた。ぽかぽか陽気の、爽やかな日。

ジョギングコースもある、散歩にちょうどいい公園だ。


森のように見える街中の公園で、周りを木々が覆い、芝生の広場(小学校のグラウンドほどの広さ)もある。


広場では、犬の散歩やボール遊びをする小学生など、それぞれが上手に場所を分け合って遊んでいる。

他にも何人かいて、思い思いに楽しんでいた。


ユーマは、広場の端にあるベンチを目指して歩いた。

ベンチはちょうど木の下にあり、日陰になっている。


今日は風も穏やかで、のんびりした空気が流れている。だからみんな広場で遊んでいるのだろう。


誰も気に留めない場所にあるベンチ。ユーマものんびりするつもりだった。


そのベンチの前で、ネコがちょこんとあくびをしている。


「やあ、トラ。元気?」


ユーマは、馴染みの相手に話しかけるように挨拶した。


「……」


ユーマはベンチに腰掛ける。

ネコは座り直し、向かいのユーマを見上げた。


《なんだ、ユーマか。今日はのんびりするのに良い日だな》


ユーマの頭に声が届く。


ユーマはそのままベンチに寝ころんだ。


《トラはいつものんびりしてる。わたし、知ってる》


今度はネコの頭に声が届く。

ユーマとトラは、テレパシーで会話しているのだ。


はたから見れば、ネコの前で寝ころんでいるだけにしか見えない。


《わたし、テレパシー覚えたからトラと会話、平気》

《なんか聞かせろよ!》

《カレーハンバーグ食べた話は?》

《その話は聞いた。亜空間人に会った話だろ?》

《そうそう。聞きたい?》

《相変わらずしつこいな。その話は聞いたって!》


ユーマの顔に、笑みがこぼれる。


《トラ、きびしい。わたし、バカンス中》

《それも聞いた》

《わたし、記録取らなきゃ……ギラン隊長の話は?》

《それも聞いた……だが、話してもいいぞ》


「トラはギラン隊長の話好きだよね!」


思わず口に出してしまった。


トラは、ニャーとひと鳴きした。


そこには――

ユーマとネコがいる。

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