第24話『海の見える神社で、声を聞いた』
彼は部屋で日々考えている。
それは悩みでもあり、状況でもある。
一日は願いから始まり、仕事中もいつの間にか考えてしまう。
気分を変えるためか。
部屋に閉じこもっているせいなのか。
出かけることにした。
お金もないので、久しく行っていない近くの神社へ。
神社に着いたが、人は居ない。
厳密には犬の散歩で通り抜ける人はいたが……。
境内で手を合わせる。
「神様、お久しぶりです。僕の願いを叶えてください。
僕にはどうすることもできないので……。」
よく「神様は願うものじゃなく、感謝するもの」と聞く。
けれど、神様がそんなことを気にするはずがない。
余裕のない僕は、そう自分に言い聞かせた。
お参りも済ませて、気分転換を兼ねて展望台に向かった。
そこにはベンチがあり、海岸線や海が一望できる。
昔はよく来た場所だ。
潮風が吹き抜けるベンチは、昔とは違っていたが、景色は変わらずそこにあった。
ベンチに腰を下ろし、潮風を受けながらぼんやりと海を眺める。
潮風が心地よい。
「ここの海ってブルーというより紺色だよな」と彼は思った。
青空が海を輝かせている。
ぼうっと眺めていると、声がかかった。
「地球は動いているよ。」
彼は「ん?」となり、声の先を見た。
声は続く。
「自由って憧れるよね~。わたし、探検隊!……地球は広いけど、宇宙はもっとだよ。」
「わたし、知ってる。でも無関心。でも知ってるよ!」
言葉は頭に入ってくるが、意味が分からない。
みんな「自由は羨ましい」と言うけれど、本当の自由なんてない。
社会にはルールがあるし、定義も人それぞれだ。
誰かに伝えたい。
けれど伝わっているのか。
その言葉が本心なのか、自分でも分からない。
自分が建前ばかりだからか。
いいカッコしいだからか。
世の中の主人公は自分じゃない。
世の中は動いているし、誰も気に留めない。
潮風が吹き抜け、磯の匂いがする。
――その匂いは、時に心地よく、時に生臭い。
同じ海なのに、気分次第で揺れ動くのだ。
「また考えていたのか?」
――気づけば、声に出ていた。
そもそも白い彼は、本当に横にいたのだろうか…。
展望台のベンチから立ち上がった。
「帰ろう。」
彼は呟いた。
空いたベンチに目をやると、白い彼が座っていた場所に、
貝殻がひとつ置かれていた。
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