第17話『惑星エニグマ』――観測不能の発光現象
惑星エニグマの夜。
峡谷は風ひとつなく、
ただ黒い岩壁が闇に沈んでいた。
数時間前、
この地点から異常発光の報告が届いた。
その調査のため、
ギラン隊長は現地に派遣されていた。
彼は静かに宙に浮かび、
発光の報告があった地点を観測していた。
「記録開始。異常なし。……静寂のみ。」
そのとき――
岩の裂け目に、
微かな光が揺らいだ。
最初は一点のにじみ。
にじみは次第に輪郭を失い、
ただの光の広がりとなる。
記録装置には、
映像が一切残らなかった。
――――――
「……観測不能。
裂け目からの発光現象。
対象は座標を保持せず、
物質的痕跡もなし。」
沈黙ののち、
端末に追加を打ち込む。
「既知の生物分類との照合結果――該当なし。
……現時点では“未分類現象”として記録する。」
――――――
そのとき。
裂け目の奥に、
かすかな「影」がのぞいた。
人のようで、人でない。
無数の目が瞬き、
こちらをじっと観察しているかのようだった。
――――――
次の瞬間。
囁きが、
直接意識に流れ込む。
――「観測シテイルノハ、オ前カ架、我々カ」
――――――
ギランは端末に入力する。
「通信形態:テレパシー。
内容、意味不定。
……伝達は、極端に傲慢。」
――――――
裂け目は音もなく閉じ、
影は霧散した。
「……観察終了。
分類保留。
要継続接触。」
――――――
そのとき。
胸の銀色の逆三角が、
一度だけ淡く点滅した。
返事か、
それとも錯覚か――
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