第14話「友達だからね~」で終わったインタビュー

ユーマという存在は、


いまだに理解できない。


長らく観察を続けているが、


その行動原理は不明のままだ。


ある日、私は同行している青年に声をかけた。


浅井大悟と名乗る男だ。


「君はユーマのそばにいるんだろう?


何か分かっていることはないのか?」


彼は少し考えたあと、


肩をすくめた。


「僕にも、全部は分からない。


ただ……一緒にいる。それだけ。」


「観察していて気づいたことでもいい。


習慣とか、好き嫌いとか。」


彼は一瞬だけ目を伏せ、


胸ポケットの小型レコーダーに触れた。


そして、淡々と答える。


「ムーは、友達だからね~。」


少し間をおいて、


さらに言葉を続けた。


「誰にも話してない。


というか、話すつもりない。」


――――――


そのとき。


ユーマが、


誰も触らない空き缶を拾った。


そして、


頭にのせようとする。


ピップがため息混じりに声をかける。


「ムー、それ拾うな。」


――――――


私は言葉を失った。


観察者として最も欲しかった答えが、


最も説明にならない形で返ってきたのだ。


――――――


結局、私は手帳にこう記した。


――初回インタビュー、失敗。


相手も記録魔。


今後も要観察。

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