第13話『原因不明と出生事例』(ケビルス調査③)

午後、私は再びケビルスの生息域へ向かった。


観察と分析を繰り返す。

しかし、結果に変化はない。


観察条件を変え、複数回の測定を実施する。

時間帯、湿度、風向きの差異も記録したが、数値に有意な変化は確認されなかった。


胞子の採取も試みたが、採取直後から成分の安定性が失われ、再現性のあるデータは得られない。


測定結果は常に一定の範囲に収束する。

異常は存在するが、挙動は安定している。


「……うむ」


原因は依然として特定できない。


VOID CREWから植物の専門家も招かれたが、結論は同じだった。


たび重なる調査と観察の結果、確定した事実は一つ。


人体への影響はない。


長期的影響についても検証が行われたが、顕著な変化は報告されていない。


この判断により、ケビルスへの接近禁止指示は解除された。


しかし、人々は森に近づこうとはしなかった。


美しい森であっても…時間が必要だ。


ケビルスは今も、煙のように胞子を漂わせている。


静かに、継続している。


帰還の準備を進める中で、ひとつの噂を耳にした。


幻覚を見た住人が、子供を産んだという。


関連性は不明。


私はこの件を正式な報告には含めなかった。


ただ一行、記録に残す。


「原因不明」


調査は、ここで終了する。




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