第12話『静かな街と消えた若者たち』(ケビルス調査②)
夕食を終え、私は改めて分析結果を確認していた。
見落としがないか、データの再確認を行う。
異常成分は確かに存在するが、その性質は特定できない。
「……うむ」
解析は深夜まで続いたが、結論には至らなかった。
就寝前、外に出る。
そこには、美しい星空が広がっていた。
静寂が支配している。
翌朝、朝食を済ませ、コテージを出る。
本日は住民への聞き取り調査を行う予定だ。
分析結果のデータと報告はすでに送信済みである。
VOID CREWからは指示が届いていた。
「人体に影響はないが、理由が判明するまでは住民への通達は行わないこと。現状維持」
最初にコテージの管理人に話を聞いたが、有益な情報は得られなかった。
街の住民にも聞き込みを行う。
しかし、反応は鈍い。
過去に現地警察が調査を行った経緯があり、警戒されているようだった。
しかし――別の違和感がある。
この街は、静かすぎる。
観察を続けるうちに、その理由が明らかになった。
若者がいない。
街にいるのは、中年層から高齢の住民が大半を占めている。
役所に問い合わせた結果、理由が判明した。
若年層は他の地域や惑星へ移住する。
代わりにこの惑星を選ぶのが「FIRE族」だという。
資産によって早期に労働から離れ、穏やかな生活を送る者たち。
自然が維持されたこの惑星は、彼らにとって適した環境だった。
「……うむ」
この星は、終の住処として機能している。
産業は発展しない。
新たな需要も生まれない。
だが、住民はそれを問題としていない。
望んだ生活であるためだ。
幻覚――
それは、本当に異常なのだろうか。
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