第11話『煙のように漂う“何か”』(ケビルス調査①)

ギラン隊長は、調査・観察のため、惑星ルプに来ている。


宇宙防衛軍「VOID CREW」の報告を受け、調査に赴いた。

私のコードネームは B.T.(Biological Tracker)。


調査対象は、ルプに生息する植物が幻覚を起こす胞子を撒いているという、現地住人からの通報だ。

最近になって確認された現象であり、過去には報告されていない。


その植物の名はケンタルビグルス。

古くから呼ばれているため、その意味を知る者はいない。

住民は「ケビルス」と呼んでいるため、私もそう呼称する。


ケビルスは、熱帯多湿の気候が作り出すジャングルに生息している。

住民の居住地域からは離れているため、その点は問題ない。

だが、念のため事前に接近禁止のアナウンスは行っている。


多湿な森に入ると、報告通りの対象を確認した。

VOID CREWのデータとも一致する。外観はシダ植物に近いが、サイズは大型だ。


風に揺らめく葉は、煙が立ち上るように見える。


近づくとセンサーが反応し、警告音が響いた。


「……うむ」


胞子に起因する可能性が高い。防護マスクを装着し、ケビルスに接近する。


観察機器(ガジェット)が分析を開始する。

データの出力を待つ間、周囲の環境を確認した。


多種多様な動植物が生息する、自然環境が維持された領域だ。

この惑星は開発対象から外れているため、自然がそのまま残されている。


鳥たちの鳴き声が時折聞こえるが、全体としては静穏な環境である。


ピーピーピー、と音が鳴った。

分析が完了したようだ。


結果は、胞子に異常成分が含まれていることを示していた。

だが――人体への影響は確認されない。


「……うむ」


では、住民が見たという幻覚は何だったのか。


記録を残し、私は一度撤収することにした。


日は傾き始めている。

夕日を背に、森を後にした。

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