第5話「観測者は、ひとり歩く ―赤い惑星で―」

ピップは、旅をする観測者として、見知らぬ惑星の赤い砂地を歩いていた。

かつて地球では、浅井大悟と呼ばれていた存在だ。


緑色の肌に、オレンジ色のつなぎ。静かな足取りで砂を踏みしめる。


耳の奥に、ムーの元気な声がよみがえる。


「ぼく、探検隊だからね!」


それはムーがよく口にする言葉だ。

何気ないひとことが、ピップを前へと歩かせる。


ふと立ち止まり、端末を取り出す。

「記録、記録……」


――赤い砂はふかふか。空は紫色。太陽がふたつ。


声を吹き込むたびに、画面に波形が光った。


そして空を見上げ、ふっと笑う。


「ムーならきっとこう言うんだろうな」


――わたし、今バカンス中だから。


記録を終えると、彼は再び歩き出した。

惑星での冒険は、まだ始まったばかりだった。

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