瑞希の感情の動きが決して整理されていない。それが魅力になってて、泣きそうなのを必死にこらえながら改札を抜ける冒頭から、読む者はもう彼女の隣にいる。 萌月との再会も劇的に演出せず、鼻をぶつけてしゃがみ込むという情けない場面から始まるのがいい。高校時代の章では、瑞希が家族の世話に追われながらも萌月との時間に少しずつほぐれていく様子が丁寧で、だからこそ卒業式の別れの場面に痛みを感じる。 再会後の居酒屋・部屋での場面は距離間が絶妙で、ケーキを食べさせ合う場面の緊張感は読んでいてこちらまで息を詰めてしまうほど。
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