第83話 泣いている 君の身体は かっこいい
(自筆イラスト:涙のシリウス)
https://kakuyomu.jp/users/ugimuro_sashiko/news/2912051596226848475
「フ…ハハハ…」
急にシリウスが、ゴロリと仰向けになった。
「ハハハ…
なんか…笑っちゃいますね…」
私は身を起こした。
シリウスは、片手で目を覆っている。
「ハハ…本当に…フッ…フッ…」
彼の口元が大きく歪む。
「なんですか…
僕が…気持ちよくなってから…殺してって…
ハハハ…フッ…」
シリウスの声は震えて、
手の下から、涙が幾筋も伝って落ちる。
「だって…
折角なら、楽しんで欲しいもん…」
私も、笑いながらしゃくり上げる。
「ああ…もう…リヒトさんは…」
シリウスは両手で目を覆う。
「…好きです。
…リヒトさん…」
言葉の最後は、切れ切れで、
すすり泣きにかき消える。
「シリウス…
近くに行きたいから…
【封殺】をかけて…」
シリウスは、私に片手を伸ばした。
「神通力…【封…】」
しかし、また、顔を覆う。
「フフフ…もう、いいです…
実は、獣化したリヒトさんも、
僕、好きなんです。
すごく…すごく綺麗で…」
「エェッ!?
私、獣化した私、大嫌い!!!」
私はプリプリしながらにじり寄ると、
シリウスの額の刻印に、自分の額をつける。
「ハイ、ほら、封殺!」
シリウスが諦めたように、優しく封殺をかけると、
私は少し安心して、ホッとため息をついた。
シリウスの頭を自分の膝にヨイショと載せ、
シーツを引き寄せると、
彼の涙に口づけしたいのを抑え、
その涙をトントン拭き、ついでに自分の涙も拭く。
ふと落ち着いて、彼の上半身を見ると、
その鍛え上げられた肉体は、現実のものとは思えないほどだった。
この身体に抱き締められていたのかと思うと、
胸の鼓動が激しく私を揺らした。
「シリウス…」
「はい…?」
「身体…ものすごく…かっこいいね…」
「ハイ!?!?」
シリウスは、上半身に、照れ臭そうにシーツをかける。
「普通ですよ、こんなの…
ファリスやアダムはもっと筋肉がついているし、
体技学院や騎士学校にだって…」
「すごい…服を着てるときは、こう、スッとしてるのに…
その中は、こんなに…」
私は、シリウスが言うことに耳を貸さず、シーツの上から、彼の身体をつついてみる。
「ワァ…すごい…!」
「ああ、もう!
今、僕たち、割と真面目な状況じゃなかったですか!?」
「でも、こんなにかっこいい身体だもん!」
「アァ―――――ッッ!もう!!!」
シリウスは上体を起こした。
が、耳まで赤くなった顔を、膝に埋めている。
私はふと不安になった。
「ねえ…今、君は…シリウス?」
シリウスは少し顔を上げて、私を見た。
「はい、そうです。
…リヒトさんは?」
「ちゃんと、私だよ。」
「なんか、変な会話ですね。」
思わず二人で微笑む。
「3年前も…こんな感じで、このベッドで笑い合ったこと、あったね。」
「ああ、ダンスをしたときですね?
僕、まだ13歳だったのに…
随分、積極的でしたね…」
ふいに、シリウスは、脱ぎ捨てられた上着をさっと羽織ると、
寝台を降りて、私に手を差し出した。
「美しい
「美しくないから、その部分は否認します。」
私は、彼の手を取って、立ち上がる。
シリウスは私をリードして踊り始めた。
「歌って欲しいな…」
シリウスは黙って微笑むと、あのときよりも格段に低くなった、
でもやはり美しい声で、
ワルツを歌い始めた。
私は目を閉じた。
シリウスの手や体の温もり、
耳に届く美しい歌声、
二人きりの空間…
今の私には、
これ以上、
何も要らない。
************
どれほどの時間、踊っていただろうか。
燭台の火がいくつか消え、部屋はほの暗い。
ゆっくりとシリウスが踊りを止めた。
私はギクリとしてシリウスを見上げた。
…よかった、「シリウス」だ。
が、シリウスは、青ざめている。
私は飛び上がった。
「大丈夫!?どうしたの!?しんどい!?」
「あ、リヒトさん、大丈夫です。」
「大丈夫じゃない!真っ青だよ!
ほら、横になって!」
「大丈夫です…
あの…
緊張してるだけです…
リ…リヒトさん…」
シリウスは、彼の手を引っ張ろうとする私を強固にとどめた。
「三年前の答えを、聞きたいです。」
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