最終話:未来
「先生! 早くしてよ!」
「分かったから引っ張るなよ」
あれから私達は先生の家に住んでいる。先生と詠美先生は結婚して、私と直人君も約束通り先生と住む事になった。
そして私は共に住む中である事に気が付いた。それは、私が先生の義妹だったと言う事。それを知った時、だからお母さんが不倫をしていた事を知っていたんだなと納得した。
先生の家に行って直ぐ私とそっくりの少女の写真を見つけた。先生に問い詰めると渋々私と先生は異父兄妹だと言うことを教えてくれた。けれど、私はまだ先生の事を「お兄ちゃん」と呼べていない。いや、先生が言わせてくれない。
「花乃ちゃん、あんまり颯哉君を困らせないでね〜。怒ったら怖いんだから」
「そんな事してないよ!」
私が反論すると詠美先生は笑う。
詠美先生は階段の方を見てまだ眠そうな直人君を見つけて手を振りながら言った。
「直人君おはよう!」
「おはよ、詠美せんせ」
言いながら目を擦る直人君はふらふらとしていて落ちてしまいそうだ。
「あ、直人君もうちょっとで学校だよ!」
私は時計を見ていった。七時四十分。八時には出なくちゃいけない。
「あ、大変〜」
直人君は急いで部屋から着替えを持って来た。部屋ですればいいのにわざわざ持ってくる。そして必ず先生の側で着替えるのだ。
「二人とも急げよ。遅刻したら俺が送んなきゃなんだから」
先生が面倒そうに言った。未だに先生は無愛想だ。変わっていない。
「はーい」
二人で同時に答えて朝ごはんを食べ始める。詠美先生が作るご飯はとてもおいしい。朝から元気が出る。
「行って来ます」
「おう、行ってこーい」
扉が閉まる直前、私は思い切って言った。
「頑張ってねお兄ちゃん!」
一瞬照れた先生の表情が見えた。しかも詠美先生に抱きつかれていた。
私は直人君と共に学校に向かいながら思う。あれからまだ私はよく悪い大人に傷つけられそうになる。その度先生は庇ってくれる。けれど先生は相手を傷つけずにしてくれる。それはきっとあの約束があるからだ。あの約束がなければ今の幸せはなかったかもしれない。きっと、幸せは約束によって守られているんだ。
先生は精神科医として、詠美先生は小児科の看護師として共に生きる。私は憧れの普通の子として学校に。直人君は先生と一緒に過ごす。
この幸せを守り続けたい。いつまでも、ずっと。
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