後日談:ドジっ子クラブ結成?
「先生! 遊ぼ!」
私は先生に飛びついた。
「危ねぇな! 急に飛びついて来るなや!」
先生は私を受け止めながら言った。
「だって、最近先生帰り遅いんだもん」
私が頬を膨らませながら言うと先生は言った。
「精神科の子と遊んでるからな」
「え、遊んでるの?」
「うん。三階のプレイルームでな」
確か直人君と会ったところだ。
「へぇ。先生も遊ぶんだ」
「遊ぶっていうか、怪我防止の為に」
「怪我防止で行くの? 何するの?」
「えー、喧嘩起きたら止めたり、危ないことしてる子がいたら注意とか、遊び道具の点検とか、後まぁ、転ぶ子がいないか見たり」
「へぇ、大変そう」
「大変だよ。お前みたいなドジっ子が多いから」
先生はさらっと私をディスった。
「ドジじゃないよ! あ痛っ!」
言った瞬間滑って転んだ。先生が即座に私を支えてくれた。
「ほらな」
「うう、先生の前でやっちゃった……」
顔を手で覆いながら言った。指の隙間から先生が意地悪そうな顔で言うのが見えた。
「やっぱお前ドジだろ」
「でもでも、床だって滑りやすいんだもん!」
床を指差しながら言う。
「掃除したばっかだからな」
「じゃあ花乃以外も滑るかもしれないってことだね!」
「……あー、確かにそうだな。お前みたいなドジっ子が居ればな」
「先生一言余計だよ!」
「あいた!」
直ぐ横から声がした。先生が呆れた声を出した。
「え」
「あ、詠美先生もドジっ子だね!」
声を出したのは詠美先生だったみたいだ。持っていた洗濯物をぶち撒けている。
「…………」
「あー、先生呆れちゃってる」
「……颯哉君、助けて」
詠美先生が出した手を先生が掴んで引っ張り上げる。
「何してんの詠美……」
「床が……」
「ドジだね……」
「うう、よりにもよって颯哉君の前で……。恥ずかしい」
「詠美先生も花乃と同じドジっ子クラブ入部決定!」
私が手を叩いて言うと先生がまた呆れた声で言った。
「変なクラブ作んな。問題児の集まりじゃん」
「えー、でも花乃以外は優秀な看護師さんだよ!」
「あー、まぁ、うん。そうだけど」
「先生もドジっ子クラブ入らない? さっき私を助けるとき、ちょっとつまづいてたよ?」
「背の高さのせいだろ……」
先生が視線を逸らした。図星みたいだ。
「嘘だ〜! 絶対縺れてたもん」
「縺れてねぇ!」
「先生の顔真っ赤だよ?」
「お前が変なこと言って来るからだ!」
「先生の慌てた顔面白いんだもん〜」
「笑うな!」
「だって、先生の困った顔見るの楽しいから!」
「悪魔かお前は」
「先生のこと困らせるのが得意な天使!」
「悪魔としか思えねぇわ」
「悪魔でも先生の事大好きだから大丈夫!」
そういうと先生が言葉に詰まった。何か言おうとしたけれど結局何も言えず顔を背けた。
「あ、颯哉君照れてる! 照れてるな〜」
詠美先生がツンツンと指で突いて揶揄った。
「て、照れてない」
「照れてる〜」
「照れてないっ!」
「嘘だ嘘だ〜」
私も揶揄うと先生が背を向けた。
「うっさい!」
そう言ってキッチンに向かって飲み物を取ろうとする先生の後に私たちも付いていった。
すると先生が突然止まった。私は先生の背中に頭をぶつけた。
「先生、どしたの……って、えぇ……」
先生の視線の先には頭から牛乳を被った直人君がいた。冷蔵庫は開いている。床には牛乳パック。恐らく、牛乳を取った時に溢したのかもしれない。
「えーっと、竹中さん、大丈夫?」
「ん」
直人君はそれだけ言って口についた牛乳を舐めた。
「おいし」
「うん。そっか」
先生は床に落ちた牛乳パックを取った。落ちていた位置が丁度開いていた冷蔵庫の扉を同じ位置だったからか、先生は立った時に頭をぶつけてしまった。
「痛い……」
普段見ない先生の姿に私たちは大笑いした。
「先生、ドジっ子!」
「うるさぁい……」
夜、ご飯を食べる時もその話で持ちきりとなった。
「みんなドジっ子だからドジっ子クラブ入部ね!」
「何なんだこの家族は……」
先生が呟きが、静かに消えていった。
星降る夜に 闇音鬱 @HinagiAika
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