終章
第十二話:謝罪
夜、先生と病室で駄弁っていると突然院長先生が病室に駆け込んできた。そして先生に向き直り深く頭を下げた。
「え、院長?」
「君には精神科に移動してもらう。本当に申し訳ない」
どうやら高橋先生の不正が問題になって決まったらしい。先生はその姿をじっと見つめ、やがて静かに言った。
「頭を上げてください。僕が怒っていたのは高橋医師の不正であり、貴方が下した判断ではありません。それに、この時間は無駄ではなかった。この一年で、大切な事を知れましたから」
院長先生は顔を上げた。先生は穏やかな笑みを見せた。
「今までここに来た患者が生きているのは、貴方の理念のお陰。そのおかげで、僕は風見花乃を死なせずにいられている。全て、貴方のお陰です。貴方には何も罪はない」
その言葉に、院長先生は涙を流して先生に抱きついた。それを優しく、先生は受け止めた。
「僕らは、皆貴方に救われている。それを忘れないでください」
院長先生はただ静かに涙を流し続けた。やがて院長先生は先生から離れた。そして先生は言った。
「貴方のために、全ての患者のために、誠心誠意使命を全うさせていただきます」
先生は深く、深く頭を下げた。
その後、私達は屋上に居た。
「先生、精神科行かないでよ。花乃、まだ一緒に居たい」
「無理だ。ってか、そんなに居たいのか」
「うん。だって花乃、先生のこと好きだもん!」
私が思い切って言うと先生は少し困った様な顔をした。
「その気持ちは嬉しいけど、無理だ」
「じゃあ、せめて教えてよ。詠美先生と先生の関係」
「何で?」
先生と詠美先生が同時に言った。
「詠美先生、偶に先生の事颯哉君って言ってたから、何か関係あったのかなって」
「え!」
詠美先生が顔を真っ赤にした。
「詠美……」
先生が怒った様な声で言うと詠美先生は顔を手で隠した。
「分かったよ。言うよ」
そして先生は語り出した。二人の出会いを。過去を。交わした約束を。
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