概要
声が出なかった。でも、届いていた。
気がついたとき、篠崎香織は誰もいない病院の中にいた。
蛍光灯は消え、人の気配もない。声を出すことが昔からできない香織は、ただ廊下を歩くだけだった。
食堂のテーブルに、一本の温かい缶が置かれていた。誰かが、自分のためにそこに置いていった。そう感じた瞬間、香織は階段を上り始めた。
ここではない場所に帰るために。あの声を、もう一度聞くために。
言葉がなくても、そこにいることができる。手が空っぽでも、何かを渡せる。静かな世界の中で、香織は少しずつ、届けることを覚えていく。
蛍光灯は消え、人の気配もない。声を出すことが昔からできない香織は、ただ廊下を歩くだけだった。
食堂のテーブルに、一本の温かい缶が置かれていた。誰かが、自分のためにそこに置いていった。そう感じた瞬間、香織は階段を上り始めた。
ここではない場所に帰るために。あの声を、もう一度聞くために。
言葉がなくても、そこにいることができる。手が空っぽでも、何かを渡せる。静かな世界の中で、香織は少しずつ、届けることを覚えていく。
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