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概要
終点のない旅を繰り返していた。 僕が、君に出会うその駅まで。
二十二歳の冬、田中勇司は松本駅の深夜のホームに立っていた。ポケットには、前の持ち主が途中で投げ出した青春18きっぷと、海までの完璧な時刻表。目的地に「帰り」は書いていない。
終電に乗り込んだ車両に、もう一人の乗客がいた。三十四歳の高木誠二。手首に古い傷跡を持ち、去年も同じダイヤで海を目指し、塩尻で倒れた男。二人は名乗り合い、飯田線に乗り換え、天竜川沿いに南へ下りていく。
時刻表通りに生きることが唯一の秩序だった男と、時刻表通りに生きることで自分を殺してきた男が、鈍行列車を乗り継ぎながら、ゆっくりと、互いの「欠損」を確かめ合う。
行き止まりの海は、何も答えてくれなかった。ただ、冷たかった。それで十分だった。
終電に乗り込んだ車両に、もう一人の乗客がいた。三十四歳の高木誠二。手首に古い傷跡を持ち、去年も同じダイヤで海を目指し、塩尻で倒れた男。二人は名乗り合い、飯田線に乗り換え、天竜川沿いに南へ下りていく。
時刻表通りに生きることが唯一の秩序だった男と、時刻表通りに生きることで自分を殺してきた男が、鈍行列車を乗り継ぎながら、ゆっくりと、互いの「欠損」を確かめ合う。
行き止まりの海は、何も答えてくれなかった。ただ、冷たかった。それで十分だった。
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