第31話
令和の爺ちゃん剣士、幕末で無双してました〜竹刀一本で新選組を圧倒〜
第31話 分断の刃
「構えろ!!」
近藤勇の声が、本殿に響いた。
次の瞬間――
敵が一斉に動いた。
「来るぞ!!」
四方から刃が迫る。
数が違う。
だが。
「押し返せ!!」
近藤の号令。
それに応じて、新選組が動く。
最初に突っ込んだのは、沖田総司だった。
「いきますよ」
軽く笑う。
次の瞬間。
――ギン!
一人。
――ギィン!
二人。
――ギィィン!
三人。
速い。
速すぎる。
敵が反応する前に倒れていく。
「やっぱり別格ですねぇ」
軽く呟く。
だが。
敵の数は減らない。
次々に現れる。
反対側。
重い衝撃。
――ガン!!
土方歳三の一撃だった。
敵が吹き飛ぶ。
床を滑る。
「来いよ」
低い声。
真正面から敵を迎え撃つ。
一歩も退かない。
剛剣。
圧。
敵が一瞬、たじろぐ。
中央。
源蔵が動く。
一歩。
――バシン!
敵が倒れる。
さらに一歩。
――バシン!
二人目。
無拍子。
静か。
速い。
確実。
綾が後ろで叫ぶ。
「ちょっと待ってこれ何人いるの!?」
誰も答えない。
戦いが激しすぎる。
最初は押していた。
確実に。
敵が下がる。
「いける……!」
綾が思わず呟く。
だが。
そのとき。
奥にいた幹部の一人が、手を上げた。
合図。
次の瞬間。
敵の動きが変わった。
一斉に退く。
そして――
囲む。
「……?」
土方が眉をひそめる。
「動きが変わったぞ」
次の瞬間。
――ゴゴゴッ!!
床が揺れる。
「なに!?」
綾が叫ぶ。
床が割れる。
板が沈む。
煙が噴き出す。
視界が消える。
「煙幕か!!」
土方が叫ぶ。
「離れるな!!」
だが。
遅かった。
煙の中。
崩れる床。
分断。
物理的に。
完全に。
綾が叫ぶ。
「源蔵!?」
手を伸ばす。
だが――
届かない。
床が崩れる。
源蔵の姿が見えなくなる。
「源蔵いないんだけど!?」
叫び声が響く。
「落ち着け!」
近藤勇が叫ぶ。
「持ち場を守れ!」
だが。
状況は変わった。
完全に。
戦場が分かれていた。
別の区画。
煙が晴れる。
そこに立っていたのは――
源蔵。
静かに周囲を見る。
敵はいない。
妙だ。
不気味なほど。
静か。
「……誘われたな」
低く呟く。
足音。
――コツ。
――コツ。
奥へ進む。
一本道。
まるで。
導かれているように。
その頃。
別の区画。
土方が敵と向き合っていた。
前に立つ男。
幹部の一人。
体格が大きい。
剛剣型。
「お前が副長か」
低い声。
土方が刀を構える。
「そうだ」
短く答える。
「相手してやる」
剣がぶつかる。
――ガン!!
激しい音。
重い衝突。
互角。
「面白ぇ……!」
土方が笑う。
戦いが始まった。
さらに別の区画。
沖田の前にも、幹部が立っていた。
細身。
速そうな男。
「速さには自信がある」
男が言う。
沖田が笑う。
「奇遇ですねぇ」
次の瞬間。
――ギィン!!
高速戦。
刃が消える。
残像だけが残る。
中央。
綾が震えていた。
「源蔵……」
小さく呟く。
姿が見えない。
不安。
近藤が言う。
「大丈夫だ」
短い言葉。
「奴は簡単にはやられん」
それだけで。
少しだけ、落ち着く。
そして。
奥。
静かな空間。
灯りが一つ。
ゆらゆらと揺れる。
源蔵が止まる。
気配。
重い。
鋭い。
間違いない。
前。
暗がりの中。
立っている男。
ゆっくりと顔を上げる。
岡田以蔵。
静かに言う。
「来たか」
源蔵が答える。
「また会ったな」
二人。
向かい合う。
静寂。
次の戦いが。
始まろうとしていた。
(続く)
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