第30話

令和の爺ちゃん剣士、幕末で無双してました〜竹刀一本で新選組を圧倒〜

第30話 本拠地突入

夜。

京の外れ。

古びた寺が、静かに佇んでいた。

風が吹く。

木々が揺れる。

だが――

静かすぎる。

「……ここか」

低く呟いたのは、土方歳三。

目の前の寺を睨みつけている。

その横で、近藤勇が静かに立つ。

「間違いないな」

短い確認。

その少し後ろで、綾が腕を組んで震えていた。

「……ねえ」

小声。

「戻るって選択肢、ないよね?」

即答だった。

「ない」

源蔵。

いつもの調子。

「だと思ったよ!!」

綾が小声で叫ぶ。

その横で、軽く笑う声。

沖田総司。

「大丈夫ですよ」

軽い口調。

「死ぬときは一瞬ですから」

「全然大丈夫じゃない!!」

綾が本気でツッコむ。

だが――

空気は張り詰めている。

源蔵が一歩前に出る。

寺を見上げる。

目を細める。

「……静かすぎる」

低い声。

土方が頷く。

「罠だな」

迷いはない。

それでも。

近藤が言う。

「進む」

短い命令。

門の前へ。

ゆっくりと歩く。

足音。

――コツ。

――コツ。

やがて。

門に手をかける。

ギィ……

音が響く。

開いた。

中は暗い。

静まり返っている。

「……敵、いない?」

綾が小声で言う。

確かに。

気配が少ない。

不自然なほどに。

「おかしいな……」

土方が低く言う。

源蔵が歩き出す。

一歩。

二歩。

その瞬間。

影が動いた。

――ギン!

刃。

飛び込んできた敵。

だが――

――バシン!

源蔵の竹刀が弾く。

敵が崩れる。

「いたな」

短く言う。

そこから一気に動く。

複数の敵。

奥から現れる。

「来たぞ!」

隊士が叫ぶ。

沖田が笑う。

「やっとですね」

――ギン!

一瞬。

一人。

――ギィン!

二人目。

速い。

無駄がない。

土方も突っ込む。

――ガン!

重い一撃。

敵が吹き飛ぶ。

だが――

数が少ない。

明らかに。

「……少ねぇ」

土方が眉をひそめる。

綾が言う。

「少なくない?」

その瞬間。

奥の建物。

本殿。

扉がゆっくりと開く。

ギィ……

中から。

男が現れる。

長身。

鋭い目。

さらに――

その左右にも、二人。

三人。

「……幹部か」

土方が呟く。

明らかに格が違う。

一人が言う。

「よく来たな」

低い声。

もう一人が笑う。

「歓迎してやる」

空気が変わる。

源蔵が竹刀を握る。

「来るぞ」

短い警告。

次の瞬間。

床の下。

壁の奥。

屋根の上。

――ガタガタガタ!!

一斉に音が響く。

「……え?」

綾が振り向く。

四方。

敵。

無数。

囲まれていた。

「ちょっと待って」

綾の声が震える。

「え、これ……」

源蔵が言う。

「来たな」

冷静だった。

罠。

完全な。

そのとき。

奥。

高い場所。

屋根の上。

一人の影。

静かに立つ男。

岡田以蔵。

腕を組み、見下ろしている。

動かない。

ただ、見ている。

幹部の一人が言う。

「選別は終わりだ」

低い声。

意味深な言葉。

土方が刀を構える。

「……やってくれやがる」

沖田が笑う。

「楽しそうですね」

「笑ってる場合か!!」

綾が叫ぶ。

そのとき。

四方から敵が動いた。

一斉。

突撃。

近藤が叫ぶ。

近藤勇。

「構えろ!!」

剣が向く。

無数の刃。

火が揺れる。

空気が震える。

次の瞬間――

戦いが、始まる。

(続く)

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