第27話
令和の爺ちゃん剣士、幕末で無双してました〜竹刀一本で新選組を圧倒〜
第27話 崩れた地下、残る影
――ミシッ。
天井が鳴った。
「まだ崩れる!!」
綾が叫ぶ。
土煙が舞い、視界が悪い。
瓦礫が次々に落ちてくる。
「出口はこっちだ!」
怒鳴ったのは土方歳三。
刀で落ちてくる木材を弾きながら道を作る。
「遅れるな!」
その声に応じて、隊士たちが動く。
だが――
「まだ人が残ってる!」
縛られていた剣士たち。
立ち上がれない者もいる。
綾が叫ぶ。
「この人たち置いてけないって!!」
源蔵が一歩前に出る。
「任せろ」
短い一言。
次の瞬間。
――バシン!
落ちてくる瓦礫を竹刀で弾く。
――バシン!
もう一つ。
最小の動き。
だが、確実。
「すご……」
綾が思わず呟く。
「早く運べ」
源蔵が言う。
隊士たちが剣士を担ぐ。
その間にも。
天井が崩れる。
――ドン!!
「ぐあっ!」
隊士が倒れる。
その前に、影。
沖田総司。
「危ないですよ」
軽く言いながら、瓦礫を刀で弾く。
速い。
正確。
「こっちは任せてください」
笑っているが、目は真剣。
その後方。
近藤勇が叫ぶ。
「全員、順に上がれ!」
声が響く。
場がまとまる。
その最後尾。
土方が立っている。
「最後は俺だ」
低い声。
守りながら後退する。
まさに、殿。
綾が振り向く。
「土方さん!」
「気にすんな」
短く答える。
そのとき。
――ゴゴゴッ。
大きな音。
床が揺れる。
「崩れるぞ!!」
近藤の声。
「走れ!!」
全員が階段へ。
一歩。
また一歩。
光。
上から差し込む光。
「外だ!!」
綾が叫ぶ。
次の瞬間。
全員が地上へ飛び出した。
――ドオォン!!
背後で地下が崩れ落ちる。
土煙が舞う。
静寂。
やがて。
「……助かった……」
綾がその場にへたり込む。
肩で息をする。
周囲には、救い出された剣士たち。
何人も。
疲れ切っている。
だが、生きている。
その中の一人が口を開く。
「……まだ……」
弱々しい声。
綾が近づく。
「大丈夫!?」
男が震えながら言う。
「まだ……いる……」
空気が止まる。
土方が眉をひそめる。
「どういう意味だ」
男が息を整える。
「ここは……一部だ……」
その言葉に。
全員の顔が変わる。
「他にも……ある……」
低く。
はっきりと。
「別の場所が……」
沈黙。
綾がぽつりと言う。
「……嘘でしょ」
源蔵が静かに言う。
「規模が違う」
誰も否定できない。
その頃。
京の別の場所。
暗い路地。
一人の男が歩いていた。
ゆっくりと。
足音。
――コツ。
――コツ。
岡田以蔵。
肩に、わずかな傷。
だが歩みは止まらない。
影の中から声。
「なぜ退いた」
低い問い。
以蔵は止まらない。
ただ、答える。
「……試した」
短い一言。
「どうだった」
少しの沈黙。
以蔵の口元が、わずかに動く。
「面白い」
それだけ言って。
闇へ消えた。
夜。
橋の上。
風が吹く。
そこに立つ男。
坂本龍馬。
腕を組んで、遠くを見る。
「戦の準備じゃのう……」
ぽつりと呟く。
その声は静かだが。
重かった。
屯所。
集まる面々。
救出された剣士たちは別室へ。
重い空気。
近藤が立ち上がる。
近藤勇。
その目は強い。
「京を守る」
短い言葉。
だが、全員に響く。
土方が頷く。
「次は地上だ」
沖田が笑う。
「忙しくなりますね」
綾が顔を覆う。
「全然嬉しくない……」
そのとき。
源蔵が外を見る。
夜の京。
静かだ。
だが。
どこかで。
確実に。
何かが動いている。
「……来るな」
小さく呟く。
綾が聞き返す。
「何が?」
源蔵は答えない。
ただ。
夜を見続けていた。
遠く。
別の場所。
灯りの中。
新たな影が立つ。
剣を持つ。
その背後には。
何人もの男たち。
「次は――地上だ」
低い声。
京の戦いは。
まだ終わらない。
むしろ――
ここからが本番だった。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます