第25話

令和の爺ちゃん剣士、幕末で無双してました〜竹刀一本で新選組を圧倒〜

第25話 地下の剣鬼

地下の空気は、重かった。

たいまつの火が揺れる。

影が伸びる。

「……侵入者か」

低い声。

目の前に立つ男。

地下の責任者――幹部。

鋭い目。

迷いのない構え。

「ここは“選別の場”だ」

ゆっくりと刀を構える。

「帰れると思うな」

綾が顔を引きつらせる。

「うわ、絶対強いやつじゃん……」

土方が前に出る。

土方歳三。

「面白ぇ」

刀を握り直す。

「まとめて片付けてやる」

その横で、軽く笑う。

沖田総司。

「いいですねぇ」

「遊びじゃねぇぞ」

土方が低く言う。

だが、沖田の目はすでに鋭い。

源蔵は前に出る。

竹刀を肩に担いだまま。

「やるぞ」

短い一言。

その瞬間。

敵幹部が踏み込む。

――ギンッ!!

鋭い斬撃。

土方が受ける。

火花が散る。

「重てぇ……!」

押される。

だが崩れない。

沖田が横から入る。

――ギィン!

速い。

軽い。

だが、止められる。

幹部が笑う。

「その程度か」

その瞬間。

――バシン!

竹刀が叩き込まれる。

源蔵。

最小の動き。

幹部の体が揺れる。

「……ほう」

男の目が変わる。

「木で、ここまでやるか」

構え直す。

空気が張り詰める。

三人。

同時に動く。

――ギン!

――バシン!

――ギィン!

三方向からの攻撃。

だが――

幹部も強い。

受ける。

流す。

反撃。

――ガン!

土方が弾かれる。

「くっ……!」

沖田が飛び込む。

速い。

だが。

読まれる。

「甘い」

弾かれる。

その瞬間。

源蔵が動く。

一歩。

踏み込み。

――バシン!!

正確な一撃。

肩。

幹部の体が大きく揺れる。

隙。

土方が叩き込む。

――ガンッ!!

腹に直撃。

男が膝をつく。

沖田が首元に刃を当てる。

「終わりですね」

静かな声。

沈黙。

やがて。

男が笑う。

「……なるほど」

息を吐く。

「だが」

視線が奥へ向く。

重い扉。

「本番は、ここからだ」

源蔵が静かに言う。

「開けろ」

男は笑う。

「自分で開けろ」

そのとき。

奥の扉。

――ギィ……

ひとりでに、開く。

冷たい風。

そこから――

ゆっくりと。

足音。

――コツ。

――コツ。

全員が息を呑む。

現れた男。

静かな目。

無駄のない立ち姿。

刀を持つ。

その姿を見た瞬間。

空気が変わる。

綾が小さく呟く。

「……やばい」

その男。

岡田以蔵。

ゆっくりと歩く。

止まる。

源蔵を見る。

まっすぐに。

「……来たか」

低い声。

感情は少ない。

だが。

奥に、燃えるものがある。

「選別の場を壊すか」

短い言葉。

土方が構える。

「出やがったな……」

沖田が笑う。

「やっと会えました」

以蔵は動かない。

ただ、源蔵を見る。

「お前だな」

一歩。

踏み出す。

床が軋む。

「もう一度、やるか」

源蔵が竹刀を構える。

静かに。

「いいだろう」

以蔵が刀を上げる。

地下の空気が凍る。

戦いは――

次の段階へ。

綾が震えながら叫ぶ。

「え、ここで!?今!?」

誰も答えない。

ただ。

二人の剣が向かい合う。

地下の剣鬼。

その名にふさわしい男が。

今、目の前にいる。

戦いは――

まだ始まったばかりだ。

(続く)

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