第18話

令和の爺ちゃん剣士、幕末で無双してました〜竹刀一本で新選組を圧倒〜

第18話 龍馬の一手、京炎上

夜の京。

静かすぎた。

風が止まり、人の気配も薄い。

「……なんか嫌な感じする」

綾が周囲を見回す。

「静かすぎるっていうか……」

「そうだな」

源蔵はいつも通り。

そのとき。

「始まるぜよ」

声。

振り向けば、闇の中に立つ男。

坂本龍馬。

「……何が?」

綾が眉をひそめる。

龍馬は空を見上げた。

「京が、燃える」

一瞬。

言葉の意味を理解する前に――

遠くで、火の手が上がった。

「え……」

赤い光が広がる。

煙が立ち上る。

「ちょっと待って!? 火事!?」

叫び声。

走る人々。

混乱。

次々に、別の場所でも火が上がる。

「同時……!?」

綾の顔が青ざめる。

「誰かがやってる……!」

龍馬が静かに言う。

「火種は、撒いた」

「は!?」

綾が振り返る。

「何それ!? あんたがやったの!?」

「全部じゃない」

否定とも肯定ともつかない声。

「だが、動かした」

冷静だった。

「止めるために、動かす」

「意味わかんないよ!!」

綾が叫ぶ。

そのとき。

遠くから、号令。

「新選組だ!!」

足音。

一斉に走る気配。

場面が変わる。

屯所。

「出るぞ」

低い声。

近藤勇。

隊士たちが一斉に動く。

「総員、出動だ」

土方歳三の号令。

夜が、一気に戦場へ変わる。

場面が戻る。

炎の中。

「やばいってこれ!!」

綾が叫ぶ。

家が燃え、人が逃げる。

混乱。

「行く」

源蔵は歩き出す。

「行くってどこに!?」

「全部だ」

「無理でしょ!?」

だが、その足は止まらない。

炎の中へ。

次の瞬間。

影が飛び出す。

「かかれぇ!!」

武装した集団。

浪士ではない。

統率された動き。

「これ絶対ヤバいやつ!!」

綾が構える。

源蔵は一歩。

――バシン!

一人。

――バシン!

二人。

一瞬で崩れる。

だが、数が多い。

囲まれる。

そのとき。

「道を開けろ!」

声。

突っ込んでくる影。

新選組。

「また!?」

綾が叫ぶ。

だが今回は違う。

斬る方向が同じ。

敵を斬る。

「遅い」

土方が一刀で薙ぎ払う。

「そっちこそ!」

綾が叫び返す。

気づけば――

同じ戦場に立っていた。

炎の中。

新選組と源蔵。

共闘。

「左だ!」

近藤の声。

隊士が動く。

源蔵も同時に動く。

――バシン!

連携していない。

だが、噛み合う。

敵が崩れる。

綾が息を呑む。

(……すごい……)

そのとき。

空気が変わった。

炎の向こう。

ゆっくりと歩いてくる影。

静か。

だが、重い。

「……止めに来たか」

低い声。

男が立つ。

他の連中とは違う。

圧が違う。

綾の背筋が凍る。

(……強い……)

源蔵の足が、わずかに止まる。

ほんの一瞬。

初めての反応。

男が笑う。

「面白い」

構える。

「ここからが本番だ」

炎が揺れる。

風が吹く。

戦場が、さらに熱を帯びる。

後ろで、龍馬が静かに見ていた。

「動いたのう」

その目は、すべてを見ている。

京が燃える。

人が叫ぶ。

そして――

本当の戦いが、始まる。

(続く)

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