静寂の中に響く鈴の音。月光を反射する菊の花弁。本作は、美しさと悍ましさが同居する「境界」の物語です。「鏡花」と「水月」という、現世に直接干渉し得ないはずの能力が、重なり合うことで奇跡を起こす。けれど、その奇跡の代償として、世界の裏側では「影」が牙を剥く。雪奈が覆そうとした運命、そして菖蒲たちが守り抜いた日常。文字をなぞる指先に残る感触のように、読み終えた後も「存在の証明」が胸を締め付ける、詩的な余白に満ちた一編。
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