アルマティア王国の王女ララは、ある日、日本で主婦として暮らしていた前世の記憶を取り戻す。魔鉱石「ビス」の産出量が激減し、財政危機に瀕した祖国を救うべく、前世で培った節約術と家計の知恵を武器に、国家の立て直しに乗り出す――。
見た目は完璧なお姫様なのに、中身はベテラン主婦というギャップがユーモラスで魅力的です。
この世界では、部屋の明かり、水道、調理の火、食料を保存に至るまで、あらゆる生活インフラが「ビス」という魔鉱石のエネルギーによって支えられている。ララは経費削減を掲げて、まずは王城内の省エネを推し進める。お姫様が率先して無駄使いを取り締まることで、変化の波が一気に広がっていく様子が爽快です。
さらに幼い子どもを抱えて働く女性たちのための託児室を設けて、自ら保育係を申し出る。子どもに慣れた手際の良さと溢れ出る母性に、周囲はララを「アルマティアのオカン」と呼ぶようになる。改革を成功させるために、まず家計を握る主婦層の信頼を得るという戦略が見事です。
議会での堂々たる演説により貴族たちを説得し、ようやく国の再建に向けた道筋が見え始めた矢先、買い占めによる物価の急騰が持ち上がる。国民の家計を守るため、「オカン」が立ち上がる姿に胸が熱くなる。家計を支える主婦の努力、母親の深い愛情に改めて感謝を抱きたくなる作品です。
(「物価の救世主」4選/文=愛咲優詩)