第五章:傷つけ、与えて、かかわって、
1−5−1
大型モニター、スマホ、スマートグラス、インカム、現場……
今日も各々の場所で様々な媒体を通して『青春不適合者のモブ達』は、青春を謳歌する『彼ら』の動向を見守り、奔走する。
やがて2月15日を迎え全体に『バレンタインイベントが終了した』という通達を受けると、皆一様に「はぁ」と安堵する。
寒空の下、第39ヤンキーお嬢様カプの監視にあたっていた俺も例外ではなかった。
反射的に鼻水が流れるほど冷たい寒風が吹き荒ぶ中、結城紅希にチョコを押し付けたあと俺は、念の為に監視の任務にあたっていた。
そんな中、俺の元にセンパイからの連絡が入った。
『バイト君、聞こえるか?』
「センパイ、お疲れ様です……聞こえてますよ。」
『すでに通達を見たと思うが、無事バレンタインイベントは終了した。傷与係設置以来の大型任務の立案および遂行、ご苦労だった。』
「……元はと言えば原因はこっちですけどね。」
『……そうだな。バイト君やイベント観察係の報告を見るに、この一件で二人の仲はより深いものになったようだ。』
「これもまた、『ヒロインの覚醒』というやつでしょうかね?」
『どうだかな……一方で『場当たり的な対応』があった。この点については反省しなければならないな。』
「確かに……っえ?」
『今後は特定カップルに焦点を当てた、集中的な組織運営が……』
「待ってください、また『こんな誰かを傷つける案件』をやるつもりですか!?」
『しょうがないだろ。それが『傷与係の背負う運命』ってやつさ。』
「その思想を持った敵役って、大体天罰が下ってません?」
『……それよりも』
「今それよりもって言いました?」
『今から作戦に手を貸してくれた、関係各所へお礼をしに回るぞ。』
「今からですか……!?チョコ配りで走り回った上に、寒空の下監視していたので、もう寝たいんですけど……?」
『なに言っているんだ!うちはできて間も無い木っ葉部署……!今後のことも考えれば、これ以上に無い良い機会……逃す手は無い……!』
「あのせめて家に帰ってお風呂で温まりたいんですけど……!!!」
その後俺は、頭を抱えながらセンパイの指示に従い、夜明けにかけて『紅白リカバリー作戦』に手を貸してくれた関係各所にお礼して回るのであった……
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