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それから、傷与係としての報告書を作成していたというセンパイも合流して、場当たり的なミーティングが始まった。
ミーティングとはいっても、大量に買い込んだチョコの中でも、賞味期限が近いチョコからを延々と食べ続ける会と化していた。
センパイがチョコのかかったパイを手に取りながら、今回の任務に関しての確認をとる。
「そういえば、ここ3日くらいでどれくらい購入してきたんだ?」
「えっと……だいたい1日当たり、4〜5万くらいでしょうか?」
「……少ないな。」
「一般的なスーパーを中心にしていますから、そんなものですよ。」
「せっかくのブラックカードが形無しだな……いっそ何処ぞのアムールにでも行って、買い占めに行ってくるか。」
「ダメです。最近は予約制ばかりで買えない商品も少なくないらしいですよ。」
「おのれ、転売ヤーめ……!」
「今は俺たちの方が、転売ヤーっぽいですけどね……といいますか……」
「……どうした?」
「やっぱり、今回の任務って傷与係としての任務ですよね……?」
「……まぁ、そうだな。『送るチョコもしくは材料としてのチョコがないという極限の環境下でヒロインを覚醒させる』ことを目的に、私が立案・提案したものになるからな。」
「諸悪の根源がここにいた……」
「そういってくれるな……最終的に命令を下したのはセンターなんだから。」
「そうなんですか?」
「今回の場合だと、まずセンターから『バレンタインデーにヒロインが覚醒!何があった?』というお題が来るんだ。」
「待ってください、任務って大喜利のスタイルで決まるんですか?」
「それに対して『街中からチョコが消えた』っていう旨の提案書を提出する。その後採用されれば、晴れて任務として命令が下されるってわけだ。」
「そんな『深夜ラジオのノリ』で決まった任務を、俺は今までこなしてたんですか……?」
「いつもそういう訳じゃないがな。ただイベント事に関しては、このスタイルで決まることが多い。ちなみに採用されると『センター特製ステッカー』がもらえるぞ。」
そういうとセンパイは、何処からともなくプラスチックケースをフタを開けながら取り出す。
中には『特製ステッカー』とやらがギッシリと詰まっていた。
「やっぱ深夜ラジオじゃねぇか!というかそもそも、俺一人が買い占めているだけで、そんな影響って出るものなんですか……?」
「あぁ、小規模ながらも効果は出ているぞ?その証拠に、我々が担当している地域における先週末の『試作チョコを作る会』は例年の50%も減少している。また、それを受けて『チョコ以外で対応しようとしている動き』が活発になっていたりもする。」
「……この地域の女子達のプライベートがまるでありませんね。でもこのままだと、プレゼントできないまま終わる女子も増えるのでは?」
「その点は心配するな。この青春ユニバースにいる主要人物達は、クリスマスやバレンタインデーなどの時期になると、意中の相手に何かしらを贈りたい衝動に駆られ、狂ったように何かを準備する習性があるんだ。何かを贈らないまま終わるカップルなんていないさ。」
「習性でも別にいいじゃないですか!?ほんと、愛すべき『この世界の彼ら』をなんだと思ってるんですか!?」
「まぁ、最悪女子が贈れなくても、男子がなんとかするだろ?プレゼントを代わりに作って贈るとかさ。」
「えぇ……?」
「そもそも外国では、男が女に何かしらの贈り物をする日らしいしな」
「そうなんですか?」
「結局は彼ら・彼女らを信じろって事だな。とはいっても男ってのは皆総じてバカだからなぁ。贈られて初めてやる気を出させる日本式の方が、もしかしたら良いのかもしれん。」
「あの、主語デカすぎて、部下の俺に刺さっているんですけど。」
「君の場合はアレだな。贈られても激重な返しをして自滅するタイプっぽいよな。マカロンとか贈ったりしそう。」
「そんなことしませんよ!なんなら、惚れ直させる『最高の贈り物』を贈り返してやりますよ!!!」
「仮に何を贈るんだ?」
「……は、花束とか。」
「ほらな?」
「おい、何処見て誰に同意を求めてるんですか?ここには俺しかいませんよ?」
そんな具合に、バレンタインデー前日の夜は更けていくのであった。
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