死なせないで
烈
死なせないで
懐中電灯を持ってトンネルを進む。
湿った空気は私のために、
耳の中にカビを生ませる。
出口の光は全く見えず、
入口の光も消え失せた。
水滴のポタポタと落ちる音だけが
私を、いや、あの人を救える。
あの人が救われることは、私も救われる。
あの人が死ぬことは、私も死ぬこと。
トンネルの精霊よ、
あの人を死なせないでくれ。
少なくとも私が死ぬまでは。
ずっと続くと思われたトンネルにも終わりがやって来た。
小さな光が瞳のクモの巣を焼き尽くす。
生まれ変わった目の前には、
廃屋が佇んでいた。
忘れ去られた人々の歴史が、
私を、いや、あの人を救える。
あの人が救われることは、私も救われる。
あの人が死ぬことは、私も死ぬこと。
廃屋の精霊よ、
あの人を死なせないでくれ。
少なくとも私が死ぬまでは。
死なせないで 烈 @ph1967
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