ことごとく無意味

白川津 中々

◾️

 エゴサをするが俺の名前はヒットしない。

 何故か。何もしていないからだ。

 何かしたいわけでもできるわけでもないが、誰かに認められたい気持ちはある。Xでいきなり赤の他人から「君ってさ〜」などとDM絡まれたり突然ポストされていたらそれはそれでホラーなわけだがどうしても検索してしまうのだ。この時間には意味も意義もない。ひたすら割り切れない数を割っていくような不毛。それでもどうしてだかやめられない。何もない俺が何者かであるかもしれないという酷く空虚な一人遊びの中毒に陥ってしまっている。それで得られるものなど何一つとしてないのに。

 もし仮に俺が何者かになって、あるいは何かを成し遂げてエゴサをしたらこの虚しさは解消されるのか。話した事もない人間から賛否を送られ人格の是非を問われたら満たされるのか。もしかしたら決して俺の名前が出ないからこそ無駄な時間を費やしているのかもしれない。他者から認識されていない自分自身を認識する事で、ここに確かに自分が存在しているという逆説的な証明を実践形式で試しているのだとしたら……しかしこれは無意識。思案、思考の外にある行動であるから認識もなにもない。俺はただヒットするわけがないエゴサに時間を費やしているだけに過ぎないのだ。芸能人が自分の名前を検索して一喜一憂するように。

 俺はここにいるのか、誰が俺の存在を証明できる。俺ですら俺の認識が曖昧だというのに!


 認知されたい、知られたい。誰かに俺を認識されてほしい。何もできない俺を、何者でもない俺を、誰か、知っていてほしい。


 エゴサは、続く。

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