第18話 錬金術の真髄
「ここが入口かな」
洞窟のような入口から、アルタは遺跡に足を踏み入れる。
中は屋敷のような造りに、土が積もっていた。
後ろのライセナも辺りを見渡す。
「全然探索されていないわね」
「そうみたい」
ここは、オーガの縄張り内の遺跡。
危険エリアなだけあり、近寄る者もいないのだろう。
さらに、理由はもう一つ。
「来た人がゼロではないかもしれないけど、あるのは
ライセナは足元の欠片を拾った。
小さいが、これも
この遺跡にはたくさんの
「ここの物は、持ち帰る価値も無いと思われたのかも」
「そっかあ」
アルタも
「ロマンがあると思うんだけどなあ」
「ふふっ。アルタ君がそう思うなら、お姉さんは満足かな」
「?」
しかし、ライセナは微笑んでいた。
収集するきっかけのアルタと共感できるなら、これ以上の喜びは無い。
アルタはその真意に気づいていないようだが。
そんな中、アモフも付近で土を掘っている。
「わふっ! ふっ、ふっ!」
「お」
尻尾をぶんぶん振りながら、手でせっせと。
夢中で掘った場所からは、何かが見つかった。
古びた短剣だ。
「はふーっ!」
「おお!」
アモフは堀った穴から、短剣を口にくわえて出てくる。
まるで好みの武器を見つけたように。
こんなところも、犬型魔物の習性に似ている。
アモフが嬉しそうにくわえる短剣を、アルタもしゃがみ込んで見つめた。
「……これも錬金術産だ」
「!」
アルタは錬金術師ならではの感覚で読み取る。
目を見開いたライセナは、後ろから尋ねた。
「レベル的には、どうなの?」
「正直、俺もすぐ作れそうな量産型だと思う。でも、俺やおじいちゃん以外にも、錬金術で武器を作る人が存在したんだ」
「やっぱり、カノンの推測は……」
「合ってそうだね」
“錬金術は古代の失われた技術”。
カノンはそう推測した。
ここまで証拠が出てくると、その仮説も
そんな中、アルタはふと気配を感じ取った。
「向こうに何か大きな物がある」
「……! それって!」
「うん。行ってみよう」
アルタはなんとなく勘づきながらも、道を辿っていく。
だが、すぐに壁に
ライセナは首を傾げる。
「行き止まりかな?」
「……いや」
しかし、アルタは壁に手をつけた。
すると、壁に精霊が吸い込まれるように入り込んでいく。
精霊に動かされるように、壁はゴゴゴゴと自然に動いた。
「隠し扉だね」
「こんなところに……!」
「精霊の力で動くみたいだったけど」
大したことないと思われた遺跡だが、仕掛けが存在した。
精霊の力が使えないと開かないようだ。
つまり、探索されていない可能性が高い。
「下に続いてるね」
そのまま階段を降りていく、気配の元は姿を現した。
「「「……!」」」
遺跡の最下層に置かれた、大きな物。
アルタは台座に駆け寄ると、すぐに確認した。
「間違いない。『
「本当にあるとは……」
探し求めていた物だ。
これで二つ目になる。
すると、ライセナは不思議な伸縮自在のバッグから、最初に得た『古代の遺物・部品』を取り出した。
「実際に合うか、試してみる?」
「……! うん」
アルタは『
それを確かめるべく、アルタは二つを重ねた。
「一応、接合部はこれで合ってるはず。だけど……」
「だけど?」
だが、アルタは口元に手を当てた。
「これを組み合わせるのは、かなり難しいかも」
「え、アルタ君でも?」
「うん」
あちこちを触りながら、アルタは考察を続ける。
「なんていうか、同じ錬金術なのに未知の製法を見せられている感じなんだ。繋がりそうなんだけど、そのままじゃ上手くいかないっていうか」
「……! ふふっ」
アルタは頭を悩ませる。
だが、ライセナはふっと笑みを浮かべた。
「その割には楽しそうな顔してる」
「え? あ、そうかな」
ライセナに言われると、アルタも自分の感情を理解する。
「でも──うん、多分ワクワクしてる。未知を求めるのが錬金術の
「ふふっ」
カノンの推測通りなら、錬金術は歴史から
それでも、今なおアルタの心を躍らせてくるものだ。
その姿は、首都でも
「だからなおさら、俺は錬金術の真相を確かめたい!」
「そうね」
改めて決意すると、アルタは背を向けた。
「目的は達成した! 帰ろう!」
「ええ」
「わふっ!」
こうしてアルタ達は、オーガの縄張りの遺跡で二つ目の『
◆
「という感じで、二つ目をゲットしたよ」
翌日。
アルタ達は都立アカデミーの生徒会室に集合していた。
もはやたまり場になったこの場所で、カノンが続ける。
「こんなに早く見つかるとはね。さすがアル君とライ姉さん」
「わふっ!」
「あ、アモフもだったね。ごめんごめん」
アモフが「自分も!」とアピールしたので、カノンは慌てて付け足した。
とにもかくにも、これで無事に二つ入手だ。
状況を整理すると、カノンはアルタに確認する。
「アルタの見解だと、全部でいくつ組み合わさるんだっけ」
「おそらく五つだね」
「じゃあ、あと三つか」
錬金術の真相に繋がるであろう、『
それはあと三つで完成する。
これを追えば、歴史の背景が分かってくるはずだ。
すると、カノンは続けて報告した。
「わたしの探索エリアはもう少しかかりそう。リゼリアのところは?」
「……うん」
対して、リゼリアは若干視線を下げる。
「私のところは、目ぼしい遺跡が見つかった」
「「「……!」」」
「けれど──」
リゼリアは前を向き直して口にした。
「見たことのない魔物がいたの」
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