第8話 愛と士季
あれから何分経過したであろうか。
結果として、士季は場内を
それほどまでに、この敷地は広大すぎたのだ。
なんとか、ひと1人通らない犯行現場の近辺までは到達できたものの、問題はそこから。
事件現場の写真を綺羅が
もっとも、写真に写っていた
似たようなデザイン、似たような
方向性が
「この辺だろうけど、詳しい場所なんて分かんねぇよ…」
1人でぼやきながら、辺りを
スマホを開き、ストリートビューで確認しようも運動公園に
こんな薄気味悪いところを好き好んで歩く人間など
上空からの地図で現在位置を特定しようも、
「くそったれが…」
どうも、ここに来てからというもの異様なイライラに
なんだろう? ここにいると本当に嫌な気持ちなる。
今の士季に課せられた目的というのは周辺を
とにかく練り歩くことだ。
一度、士季は頭を冷やそうと歩行を
歩きながら、今までの経緯のことを思い返す。
『いくら
ふと、生徒会室で綺羅の話していた言葉が脳内を巡る。
この言葉が
(愛を持って生まれてきた? そうだとしたら俺はなんだ?)
無論、綺羅の言葉はもっともだと思う。
だが、士季にとっては違和感を覚えるものであった。
自分はそれに
一般的に言われている愛の
綺羅が言うようにどんな人間であろうとも、無上の愛を
嫌な記憶が士季を
気にしていないつもりでも、無意識に嫌な記憶というのは
何故だか、足取りがどんどんと重たくなっていく。
まるで、両足に
心なしか、周囲の景色もくすんで見えてしまう。
夕暮れの空は、木々の影と
密集した森林から
まるで
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