第7話 憤懣
時刻は18時。
士季は事件現場となった運動公園にいた。
バブル期に入り公害防止の
士季がここを訪れるのは小学生以来であろうか。
無駄にだだっ広いのは当時と変わらないが、スポーツ施設の豊富さと、それに
当時と変わらないようで、今の時代に小さく
もっとも、それが
行方不明事件を機に、街は
みんな、
まるで最初から事件など起きていなかったかのような
最も
今回の行方不明事件の被害者は全員、高校生であるのにだ。
合計18名、
犯人の動機は
従って、
本来なら、生徒は自宅で
運動公園でこの有様なら、おそらく街の方ではもっと寄り道の生徒でごった返していることだろう。
いったい何の為に休校したのか、これでは
誰も、ここが事件現場だとは思うまい。
現地に到着して以降、
士季は辺りを見渡し、巨大な
ほんの一瞬だったが切断された蜘蛛の糸のようにプカプカと幾つかに分散したかたちで空間を
今は目を
周囲の人間たちはまったく気付いていない様子だったが、能力者である士季の目を誤魔化すことは出来ない。
あの糸はおそらく被害者を
鏡で例えるならば、自分たちのいる方が現実世界であり鏡の向こう側が閉鎖空間である。
実体が存在する現実世界は
では、鏡の世界は現実ではないのか。
現実世界に映し出されている点に関していえば、鏡も立派な現実ということになる。こうして目で見える範囲で言えば、確かに同じ世界に2つあるのだと認識できる。
だが、これから士季のやろうとしていることは
犯人は鏡の中の住人。
現実世界で足取りが一切、
気付いてしまった以上は、救出に向かわねばなるまい。
ここで
だからこそ余計に、
関係はないが『
人々は災害が起きた時だけ、危機感が高まるが時間経過と共にその意識が薄れていくという意味である。
この前の避難訓練の時に
この手の話は何度も聞かされている。まさか、こんな時に思い出すとは思ってもみなかったが。
(どうせ、ここにいる奴らも事件に巻き込まれて、ようやく自分の
士季は心の中で舌打ちした。
(こいつらの為に、今から犯人の
せめて大人しく家に
だが、人の振り見て我が振り直せ。
理由はどうであれ士季自身も高校生である。
ただえさえ、普段から校内規律を破ってばかりいる不良少年の士季が、見ず知らずの高校生に対して
これぞまさしく
士季は大人しく事件現場を調べることにした。
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