第2話 夢の中で
気が付くと紙芝居が始まっていた
アタシは5円玉を握りしめて、集まった他の子供達と一緒にお爺さんにお金を渡して、代わりに飴玉を一つ貰うと、地べたに座ってワクワクしながら紙芝居が始まるのを待つ
「さあ、今日のお話しは「桃太郎」!始まり始まりぃ〜」
わあっ!っと集まった子供達から歓声が上がる
皆、眼をキラキラ輝かせて紙芝居に夢中だ
「昔々、ある所にお爺さんとお婆さんが住んで居った … 」
ある所って何処だろう
「ある日、お爺さんは山へシバかれに、お婆さんは川へ洗濯に出掛けました」
え、洗濯機も無いの?
お爺さん誰にシバかれるの?
可哀想
「お婆さんが川辺で洗濯していると、川上から大きな大きな桃が、どんぶらこと流れて来た」
何で桃が流れてるの?
何処から流れて来たの?
「お婆さんは喜んで、その桃を家まで持って帰り …… 」
拾得物を勝手に持ち帰ったら犯罪だよ?
てかお婆さんどんだけ力持ち?
「山から帰ったお爺さん、大きな桃に驚くが、やれ食べて見ようと包丁を持ち出し …… 」
あ、知ってる
中から桃太郎が産まれるんだよね
てか何で桃から赤ちゃんが出るんだろ?
「お爺さんが包丁で見事に桃を一刀両断!桃から産まれる桃太郎、なんと桃と一緒に真っ二つ!」
は?
えぇーーーーっ!?
何?
お爺さん実は凄い剣豪だったとか?
違う、そこじゃ無い!
「憐れに思ったお爺さんとお婆さんは、赤子の亡骸を丁重に弔うと、供養とばかりに桃を食べた」
供養て ……
罰当たるんじゃ無いの?
てか何やらかしてんのよ、この糞ジジババ!
桃太郎、産まれる前に死んじゃってるし?
「桃を食べた二人はあら不思議?みるみる若返り、お肌ツヤツヤ、筋肉モリモリ、活力バキバキ漲らせ、帝の命を賜ると桃太郎の敵討ちとばかりに鬼ヶ島へと鬼退治の旅に出掛けるのであった!!」
「敵討ちって、アンタ等が桃太郎殺しの犯人じゃない!?」
ガバっと飛び起きると、何時もの自分の部屋だった
…… どうやら居眠りして夢を見たらしい
変な夢 …… 続きが気になる
ていうか、お爺さんとお婆さんは桃太郎を育てなきゃ為らない筈なのに、ナニ桃と一緒にブッ殺しちゃってんの!?
挙句の果てに桃を食べて若返り、桃太郎の代わりに鬼退治?
どんだけ碌でもないストーリーよっ?
はあ …… 鬼の角なんて生えるから変な夢見ちゃったじゃない
そもそもアタシは紙芝居なんて見た事も無いのに、何であんなにリアルな夢見たんだろ?
頭を押さえると、角の感触が無いのに気付く
「あれ?角、どこ行った?」
よくよく触ってみると、小さな瘤くらいの突起が可愛らしく残っていた
「何だ、消えた訳じゃ無いのか …… 」
いっその事、角が生えたのも夢で在って欲しかったな ……
でもまあ、コレくらいなら髪で目立たないし、外出も出来るかも
ていうか、小さなコリコリ触ると気持ち良い♡
なんならオ◯ニーよりずっと気持ち良い
ヤバい
気が遠くなりそうだ
イケナイ事をしてる様な気もするけど、指が止まらない
あぁっ、んっ♡
バキン!!
突然、眼の前が真っ白にスパークした!
体中に沸々と変なエネルギーが湧いて来るのが解る
ナニこれ?
アタシどう為っちゃった!?
手が真っ赤だ
慌てて卓上ミラーを見ると、其処には立派な鬼の角を頭に生やした赤鬼の姿が写っていた
「嘘っ!?何コレ?」
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