カエルレウス…青、青い

空を飛んでみたい。 雲を触ってみたい。 虹って乗れるのかな。


そう思ったことはないか? …少なくとも、私にはある。


幼い頃の私は、海の近くに住んでいた。


よせる波の音、潮風、守護獣シーサー、赤い煉瓦屋根、防風林。


…4歳の頃なので、あまりはっきりとした記憶はない。


私が生まれてから、4歳まで、ずっと住んでいた。血縁は住んでいないけど、私は故郷と呼ぶことに違和感を覚えなかった。


今でこそ東京に住んでいるが、暗い気持ちになった時、なんだか懐かしくて、思い出して泣いている。


そういえば、小学校の時、一度だけ戻ったことがある。


世界遺産のグスク跡に行って、それから氷菓アイスを食べて、水族館に行って。 小さい頃とはずいぶん世界の見え方が変わってしまった。


でも、あの澄み渡る海の群青によく映える、碧い空は変わっていなかった。


城跡。猫が住んでいた。島にしては高い場所にある石垣のてっぺんまで登って、水平線を眺めていた。


東京と比べて、少し蒸し暑い、でもなんだか落ち着く、生ぬるい潮風の香りが、あの暑さが好きだった。


父の転勤で東京に住むことになって、泣いてしまった、当時の私。


今でこそ陰鬱で暗い性格だけど、多分、心の底は変わって無い。


歌うのが、絵を描くのが好きで、誰よりも純粋で、優しかったあの頃の自分へ。


PS.とある学生


**


前話完結させる予定でしたが、みなさんに評価/感想をいただき、自分の価値観に少し誇りが持てました。


読んでいただきありがとうございます。

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見上げて、空一面。 めそぽた瑛琉 @airisu_eiru

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