見上げて、空一面。
めそぽた瑛琉
カエルム…空、天、天空
『雨は好きですか』
この質問に、あなたはどう答えるだろう。
キャンプが趣味の両親も「焚き火できないからね…雨は好きじゃ無い」。
一般的に好まれる天気は、晴れだろう。
でも、私は雨が好き。これは譲れない。
…突然だが、雨によるデメリットって何があるだろうか。考えてみてほしい。
低気圧による偏頭痛?
外出の予定が崩れる?
髪型がまとまらない?
傘を忘れたら悲惨?
…同意はできるし、自分もそう思う。
ではつぎは、雨によるメリットを考えてほしい。私が一番に思いついたのは、『水たまり』だった。
なぜかって?まず、水たまりというのは、地面に吸収されなかった言ってしまえば『雨の落ちこぼれ』だ。なぜ落ちこぼれに魅力を感じるか。ずばり、『景色』にある。
みなさんにも水たまりを覗き込んだことはあるだろう。…無いって?そっかぁ…。では想像しほしい。
何か辛いことがあって、あなたは宛てもなく下を向いてとぼとぼと歩いていたとしよう。そして、
想像できただろうか?普段から小説を読むであろうみなさんの豊かな想像力に期待したいところではあるが、まあ、私が言いたいのはそういうことだ。
…話が逸れてしまった。
つまり、『私は雨が好き』だ。
雨が降る前、空が少し薄暗くなって、サーッと遠くから雨の音が近づいてきて、いつの間にか呑まれている。
小さい頃、買ってもらった新品の長靴を履いて水たまりに飛び込んでびしょ濡れになって、親に呆れられながら怒られて。
塾帰り、東京の
窓に打ちつける雨粒。頭にのしかかってくる天気そのもの。
濡れた葉の水が、吹いた風に煽られて滴る瞬間。
全部、狂おしいほど好きなんですよ。
空は、神の領域で、人知の及ばないナニカがいて、ずっと夢のセカイ。
雲は、食べられる、って。今でも
あんなに儚くて、でも空の紺碧によく映えて、生きてるって感じのするものを、私は他に見たことがない。
空。時間が経つだけで、黒く姿を変えて、星を魅せる。
ちいさいころは、夕焼けのチャイムが楽しい時間の終わりだったな。『また明日』って。公園から帰る途中、地平線に朱と藍の滲む空。無限のパレットに浮かぶ星で勝手に星座を作った。
初めて徹夜した日。家族の誰よりも早く朝日を見たことは、秘密の、私だけの思い出。
また、今日が終わって、明日が始まって、ずっと、空を繰り返す。
__じゃあね。
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