第2話 海外のアイドル
初めての大舞台 その日がついにやってきた。
学園の大講堂は、異世界中のアイドルや観客で埋め尽くされ、光と音が渦巻くようだった。
舞台袖に立つ私は、胸の奥がひりひりするほど緊張していた。
「月音、緊張してるの?」
背後から声がする。
振り向くと、エルフ風の留学生、リリィがにこりと微笑んでいた。
「ちょっと…でも大丈夫、多分」
私は小さく答え、手のひらを握りしめる。
今日は特別な日だった。
異世界のさまざまな国からアイドルが集まり、SNSでライブ配信される大イベント。
私のパフォーマンスは、世界中のファンが同時に見ている考えるだけで心臓が跳ねる。
ステージに上がると、最初に目に飛び込んできたのは、外国人アイドルの存在だった。
金色の髪、透き通るような青い瞳、そして見事なダンスのステップ。
「わ、うまい…」
心の中で息を呑む。
「今日のコラボは君たち二人だよ」
スタッフの声に呼ばれ、私とリリィが向かい合った。
互いに微笑むが、内心はドキドキが止まらない。
音楽が流れ始める。
私は深呼吸をして、自分のリズムに集中した。
リリィの動きを見ながら、自分もステップを踏む。
手先や表情に少しずつ自信が湧いてくる。
「これなら、いける…!」
舞台上のライトが私たちを包む。
観客の視線、SNSのコメント、カメラの光すべてが私に注がれている。
「Your smile is so cute!」
「Increíble actuación!」
「月音ちゃん、もっと見せて!」
世界中の反応がリアルタイムで飛び込む。
見た目は普通だけど、努力してきたダンスと歌が、確かに人々の心に届いている。
胸の奥で、静かに、でも確実に輝きが増していくのを感じた。
ステージが終わり、舞台袖に戻るとリリィが笑顔で言った。
「月音、すごく輝いてたよ」
「え…ほんと?」
私の頬が少し熱くなる。
そして、ふと気づいた。
恋愛禁止のルールで心を隠していた彼
ステージから戻る途中、私の目に彼の姿が映った。
目が合い、短く手を振っただけ。
だけど、その一瞬で胸がざわつく。
秘密の恋も、SNSも、世界中の視線も
全部が、私を少しずつ変えていく。
その夜、ベッドで通信魔石を開く。
「今日の動画、どんな反応かな…」
コメント欄には、想像以上の書き込みが並んでいた。
「月音ちゃん、最高!」
「I love your smile!」
「もっと一緒にコラボして!」
私はそっと微笑む。
まだ小さな一歩かもしれない。
でも、ひっそりとした自分の努力が、少しずつ世界で輝き始めた――。
まだ誰も知らない、秘密の輝き
それが私の物語の、次の一歩だった。
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