私の天気予報に雨マークはつかない。




 こんばんはか、おはようが、分からなくなる。


 そんな時間帯。



 ふと、たまに、ごくまれに、


 考えることがある。



 人の死は天気予報の雨マークと一緒。


 親戚の死で皆んな、傘を取る。


 自分が死んだらどれだけの雨が降るだろうか。と。


 どれだけの人が、傘を持ってくれるだろうか。と。



 私は考える。



 考えても、考えても、


 大雨警報のアラームが鳴ることはない。


 降ったとしても小雨程度だ。



 親は悲しんでくれるかな。


 親よりも先に逝くなんて、そんな親不孝なことはしたくないけど。


 怒られそうだな。



 表面的な繋がりしかない友達は泣いてくれるかな。


 来ても、お経までは聴いてくれないよね。



 私のために時間を使いたくはないんだ。


 友達だった料をお布施して、帰っていくんだ。


 それが正しいことか、悪いことかは正直分からない。



 だって私もそうするから。



 友達が死んでも、友達だった料を支払って、すぐに帰る。



 明日には雨が止む。



 それだけの関係しか築いてこなかった。


 それだけの想いしか湧いてこなかった。


 それだけの涙しか溢れてこなかった。



 私はいつでも孤独だ。


 私はいつでも一人だ。


 友達と喋っている時でも、家族と居る時でも、恋人とのデート中でも。



 私は一人。


 いつでも一人。



 そんなことを思っているから。


 この考えが間違えているように。


 私が死んでも、私の天気予報に雨マークはつかない。



 私が死んでも、曇りのマークは欲しいかな。


 晴れのマークでは、化けてでるかも。



 人の死は天気予報の雨マークと一緒。


 他人を笑顔にしてきた人は、それだけで雨が降るんだと思う。


 他人から信頼された人は、それだけで雨が降るんだと思う。


 頼られた人は、それだけで雨が降るんだと思う。



 私には全部足りない。


 全部足りないけど、曇りマークにするために、今日も一日一生懸命に頑張ろうかな。


 晴れマークは嫌だからね。








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