第8話紺色の蝶と金色の蝶

夜の庭に、紺色の蝶がひらりと舞い降りた。

冷たい風とともに告げられる言葉――

「あなたの命は、もう長くはない」


胸が凍りつく。逃げ場はないと思ったその瞬間、金色の蝶が光をまとい、静かに現れる。

「まだ終わらない」と、その羽は希望の光を放つ。


紺色の蝶の影が後ろで揺れ、闇は深く広がる。

けれど、金色の蝶の光が僕の手元まで届き、触れた瞬間、身体が震えるほどの温もりに包まれた。


死の予感と生の可能性が、僕の中でせめぎ合う。

金色の蝶はそっと囁く――

「生きるか、死ぬかは、あなた自身の決断次第」


迷いながらも、僕は手を伸ばす。

光に触れた瞬間、闇の恐怖は少しずつ遠のき、僕の心に希望が差し込む。


紺色の蝶と金色の蝶――二つの存在が、今、僕の運命を決めようとしていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る