第6話僕の死

教室の空気が重く、呼吸が苦しい。

胸の奥で心臓が破裂しそうに打ち、手足は鉛のように重い。

視界の端で、紺色の蝶が舞う 、その羽の赤が、まるで血のように胸に突き刺さる。


「もう……だめだ」

小さく呟く声が、耳元でこだまする。

時間も空間も、すべてが歪み、息をするたびに体が千切れそうだ。


窓の外で影が揺れ、部屋の中にじわじわと迫ってくる。

目を閉じても、胸の奥のざわつきは消えない。

僕は、死が確実に迫っていることを悟った――


そして――

静かに、全てが暗闇に包まれる。

心臓の鼓動は止まり、世界は深い闇の底に沈んだ

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