第5話死へのカウントダウン

時間がゆっくりと、だが確実に迫っているように感じる。

胸の奥で心臓が早鐘のように打ち、手足は冷たく震える。

昨日の違和感が、今日になってさらに濃く、重くのしかかる。


教室の時計の秒針が、耳鳴りのように響く。

ひとつ、またひとつ、刻まれるたびに、胸の奥に何かが積もる。

まるで、死の予感を数えているかのようだ。


窓の外で、紺色の蝶がふわりと舞う。

その羽の先の赤が、胸に冷たい光の刺し傷を残すようで、僕は息を詰めた。


「まだ……逃げられない」

僕の声は震え、唇を噛んでも止まらない。

視界の端で影が揺れ、心臓の奥で秒針が鳴るたびに、死の重みが迫るのを感じる。

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