さんぼせきめ ひふのおんどをかえして
あなたへ
温度、形、色をかえして。
もっときれいになれると言ったのに、もっと愛されるかたちになると。
湿度、硬度、彩度をかえして。
もっと素敵になれると言ったのに、もっと愛してあげるからねと。
排他的な温度じゃだれも愛してくれないよ。
ただにくがまろびでるのと、こころを見せるのはちがう。
彼らには付与された陶器や真鍮が、僕にだけはない理由はなに。
彼らにはなかったにく、膿がすべてかきあつめられたのはなに。
機密秘密内緒だの、子供だましにはとうにあきたの。殴る叩く蹴り飛ばすよりも、あなたのえがおがいちばんつらい。
あなたのその爪の隙間に、こびりついた赤黒い汚れを、僕は必死に剥がそうとした。爪のほうがさきに剥がれた。
さーかすのピエロになって、みんなを笑わせたいなって思っていた。クラウンになって、物語の引き立て役にもなりたかった。
こんなのは望んでいなかった。みんなそうだった、紙風船に穴あけるみたいに、あなたのせいでぜんぶがあなたの。
春風、海風、木枯らしをかえして。
もう空気がゆれる温度をかんじられないなんてうそだ。
かお、からだ、形もかえして。
にくと膿と内臓と、ほねだけでどろどろに突っ立って、一生このまんまだなんてうそだ。
皮膚が揺れる音。皮膚のちぎれる音。肌からにくづきだけを引っぱって、皮膚からにくづきだけを引っぱって、肝臓の塊みたいになった僕は、ただぬいぐるみの頭と包帯に体を突っ込んでいきている。
船の外装がまるきり変わっても、それは僕といえますか。あなたならわかるんじゃないですか、この世にただひとりのあなただけなら。
僕の友だちはどこへ行きましたか、なんで帰ってこなかったのですか、僕の顔面に彼の持っていたものすべて縫いつけて神経を通して動かせるようにしたなんて、うそでしょう。
これで一緒にいられる、だなんてうそでしょう。
やさしく明るくてきれいな、あなたを愛したのがまちがい。あなたはいくら愛されて、いくらどれだけの怨みをかうのか。あなたをゆるさない、あなたもこうなるべきだ。
いつか、どこかのだれかがあなたを拾って。
そのまま地下の暗い部屋で、一生出てこれませんように。
あなたの大好きなひまわりを、毎日食事に出されて、なきながら、毎日を過ごす日が、どうか永遠につづきますように。
すべてをかえして、ただそれだけなら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます