ふたぼせきめ のどのかたちをこわして

あなたへ


 ひるがえっためろでぃらいんをみて。

 きりきり音をならしながら回るおるごおるのしりんだあをみて。


 おるごおるは私の喉には合わなかった、ぎちぎち鳴ったあとに、ぽんと一度だけこわれた音をだして、それきりなにも言わなかったじゃあありませんか。

 あなたは私のぽんと鳴ったおるごおるの音をきいて、あら、僕より上手に歌うね、なんて笑いましたね。ころしてしまおうかと思った。


 旋廻した手回しねじをながめて。

 しりんだあの棘に捩じ曲げられて、おかしな音を上げる櫛歯をこわして。


 あなたをあいしていた、あなたをしんじていた、あなたは私だけをあいさなかった、あなたはなにもあいしていなかった。

 わたしはあいしていたワルツを踊れなくなった、うたをうたえなくなった、あなたをうしなった、でもあなたは元々わたしの手にあったものではなかった、いもむし、蛾、うじむし、蝿。



 私のあたまに真鍮をはめ込んだのはなぜですか、私をおるごおるぼーるにでもしたかったの。後頭葉の内側からつぶれていっているのですって。このままだとあなたをわすれてしまう、まだあなたはしんでいないのに。


 私のあたまにねじを突き刺したのはなぜですか、舞台に立って、くるくる回されるたび痛くていたくてしかたがない。頭頂葉は壊死していて、でも脳幹はまだしんでいないよ。




 ぜんぶぜんぶ、ゆるさないでいてあげますから、早くここまでおちてきてください。こんなのどもういらないよ。

 ぜんぶぜんぶ、ゆるされないまんま、なにもかもを奪われてこわれてしまうのが、あなたにはお似合いではないですか。あなたなんてもういらないよ。



 のどのかたちさえこわして。楽しくうたえないのどなんていらないよ。

 舞台に立っている私をみて。

 のどのかたちをこわして。

 

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