第3話 ベトナムの朝活事情(運動)

 ベトナムの朝は早い。


 ある日曜日の朝6時、ふと目が覚めたので近所の公園に散歩しに行った。するとたくさんの人が公園の遊歩道をぐるぐると走っていた。年代も様々で割とお年を召した方も歩いている人がいた。私も一緒になってぐるぐるとしてみると、走っているだけでなく、蹴鞠をしていたり、音楽をかけてヨガをするグループがいたり、さまざまな朝活を観測することができた。


 よくよく考えればベトナムの人はスリムな人が多い。遺伝子もあるのだろうが、こういった健康習慣が礎となっていると言われれば納得がいく。公園には健康器具が多く、名称はわからないが、自転車のように漕ぐものもあれば雲梯のようなものがあり、おばさまが使っているのをみると違和感が拭えない。


 ベトナム人の友人に話してみると、ベトナムの日中は暑くなるから自然と朝の涼しいうちに活動するのだそうだ。環境がこの健康的な朝活習慣を作り出していたのである。


 私も例に漏れず、といきたいところだが、今のところあいにく朝から公園に出向く習慣は身についていない。理由(言い訳)は色々浮かぶのだが、公園がちょっと遠いとか、家を出るとき門番さんに気を遣わないから気まずいとか、その程度のレベルである。総じて、憧れはあるが実際やるとなると足が重くなる、あの現象だ。


 憧れているからといって必ずしもやりたいわけではない。朝から公園行って走る習慣を持っている人には憧れを抱く。だが、じゃあやればいいじゃんと言われると、またなんとなく違うのである。憧れを達成するための過酷な道のりは、都合よく目を背けてしまう。


 きっと憧れから入るのは良くないのだろう、と思っている。必要とか好奇心とか、私利私欲とかそういう入り口からでしか、少なくとも私は動くことができない。


 そんな言い訳のロジックを考えながら、今朝も公園に行かなかった自分を肯定して過ごしている。いっそのこと公園の隣に引っ越してしまおうか。

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ベトナムでの移住生活 @tengo

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