異種族婚姻譚に至るまでの濃厚な戦いを楽しめる、骨太ファンタジーBL!
- ★★★ Excellent!!!
アルメリア王国の仁族の王は時を操る力を持ち、闇の帝国の進行を代々食い止めている。
歴代最強の力を持って生まれた王族のリゼルトだったが、野心を持った叔父が闇の皇帝に取り入られ、世界は再び帝国の脅威に晒されてしまう。
反乱軍を率いて帝国軍と戦い続けるリゼルトの元へ、火を司る竜人族が現れたと吉報が入った。
竜人族の協力を得るべく単身向かったリゼルトは、歴代最強の竜人王族であるカガリからまさかの「対価」を要求される――。
単行本なら最低三冊分はありそうな骨太ストーリーの一番オイシイ部分をギュギュッと詰め込んだような贅沢な内容となっています。
仁族の王族としての使命に熱心なリゼルトが、奔放で自由人なカガリにタイトル通り溺愛執着されるわけですが、そのきっかけの裏には濃縮された何千年分ものファンタジーとロマンスがありました。
私が特に「良き……(尊涙)」と思ったのは、最強の竜人王族にパーッと世界を救ってもらってイチャイチャするわけではなく、リゼルト自身もゴリゴリに戦う受けだったというところです。ファンタジーBLでこんなに濃厚な戦闘シーンを読ませてもらえるなんて、いいんですか……!?
守られるだけでなく、強い攻めを守れる強い受け。私が求めていたファンタジーBLです。強き者たちがお互いの命を懸けて悪を蹴散らしたあとの尊いイチャイチャからしか得られぬ栄養があるのです……!
丁寧に描かれたキャラクターの生い立ちや、一つ一つの動作や言動に込められた意味。リゼルトだけでなく敵役にも感情移入してしまうほど練られたストーリー。
軽い気持ちで読むには少し重い内容かもしれません。でも、用意されているカタルシスは極上です。
BLの表現はライトめなので、BLが気になってる初心者さんでも手に取りやすい内容だと思います。ファンタジー好きさんにもお勧めしたい作品。ぜひ、ご一読あれ!