第5話

「あなた……黒のTバックですね?」


車両が一瞬、凍りついた。

学生は「えっ?!」と声を漏らし、サラリーマンは思わずむせた。

老夫婦まで「まぁ……」と顔を見合わせる。


若い女性は顔を真っ赤にし、声を荒げた。

「な、なに言ってんのアンタ!? セクハラやで!?💢」


刑事は眉一つ動かさず、淡々と続ける。

「座席に残っていた繊維片。黒のレース……しかも極めて小さい布面積のもの。

つまり、犯人はあなたしか考えられない」


私は吊り革を握りしめながら、心の中で叫んだ。

――そんな証拠の使い方あるか?!

ドラマ以上に無茶苦茶やん!


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