第二話 嘘を纏ったクリスマス
十二月も半ばを過ぎた頃、ついに彼が会いに来てくれた。
私は、あんなに心臓がドキドキしたことはなかった。
待ち合わせの場所で彼の顔を見た瞬間、「やっと会えた」という想いが、抑えきれないほど胸いっぱいに広がった。
気づけば、涙があふれ、私たちは抱き合った。会ったその日に付き合うことになり、その夜、私たちは体を重ねた。
ささやかなクリスマスプレゼントを渡し、彼は寒がりの私に防寒グッズをくれた。
それは、言葉にできないほど嬉しくて、私の宝物になった。
次の日の朝、彼は用事があると言って帰っていった。別れの道中も電話をつなげ、私たちは話し続けた。
付き合ったばかりのクリスマスは一緒に過ごせなかったけれど、私はただただ幸せだった。
しかし、年の瀬が迫る頃、彼からの連絡が途絶えた。
インフルエンザとコロナを患って寝込んでいたと聞いた。その時、何気なく見た彼のLINEのプロフィール画像が変わっていた。
彼の薬指に、指輪が光っていた。
ゾッとした。
「本当は既婚者なのでは?」と、全身から血の気が引くような感覚に襲われた。
怖くてたまらなかったが、真実を確かめずにはいられなかった。
「あのプロフィール写真、いつ撮ったもの?」
彼はすぐに返事をくれた。
「離婚する前に撮ったものだよ」
私は、自分の思い過ごしだったと、心の底から安堵した。
あの時、もっと深く追求していれば、こんな泥沼にハマることもなかったのに。
年末年始を終え、再び彼からの連絡が来るようになった。
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