第五章

白雲:リビング……先日の事件での現場だな。ここを莇さんに調べさせるのは、心が痛い。だが、誰かが調べなくては…。

ざっと見たところ…死体に見立てた、空気を入れる型のマネキンが大小合わせて3つ。血糊付きのナイフが1つ。荒らされた形跡はなし。ナイフも恐らくこの家の包丁だろうし……。

白雲:死体の傷を見ていくか……。

子供を現したと思われる小さいマネキンには、両手で首を絞められたような痕が付いていた。大きいマネキンが2つ、恐らく両親だろう。片方のマネキンには、滅多刺しにされた傷痕が……もう片方のマネキンには、首を掻っ切ったような傷痕が付いていた。

白雲:このマネキン、ナイフ持ってる。しかも、逆手?いや、逆手とまではいかないけど…この持ち方、まるで自分を刺したような……。もしかして……!?いや、一応…莇さんの意見も聞こう。遺族、だしな。

俺は気を持ち直し、莇さんの部屋へ行こうとする。と、レバーが引かれ、俺の首が絞められる。

白雲:莇さん、加減、分かってないな……。

そう溢しつつ、階段を上がり、2階へとたどり着く。

茨:憲史さん!こっちです!

白雲:まずは、レバーから手を離してくれないかな。苦しいんだけど……。

茨:あぁ、すみません。加減が分からなくて、つい……。

白雲:(つい、じゃねぇよ…死ぬとこだったんだぞ。)

茨:どうしました?

白雲:いや、少し考え事してた。何?

茨:資料があったんです。憲史さんも載ってましたよ?ほら。

莇さんは俺に資料を手渡した。

白雲:ありがとう、少し時間をもらえるかな。

茨:いいですよ。ゆっくり読んでください。


資料には以下のことが書かれていた。

白雲憲史

この事件の被疑者。ナイフを持っていたところをこの家の住人である茨莇に見つかり、逮捕された。

茨飛鳥

この家の住人で、遺族の母親。滅多刺しにされているところを、死後、発見された。

茨陵

この家の住人で、遺族の父親。首を掻っ切られているところを、死後、発見された。

茨莇

この家の住人で、唯一生き残った遺族。現場にて保護された。

茨瑠夏

この家の住人で、遺族の妹。首を絞められているところを、死後、発見された。


白雲:……なるほど。リビングにあったマネキンは3つだったから…莇さん以外全員死亡か、心中お察しします。

俺は莇さんに礼をして、資料を返す。

白雲:うん、大体分かった。莇さん、俺の推理を聞いてほしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る