第5話 ふたりを分かつもの


□2人を分かつもの


結局、死が二人を分かつのかっていうと、

「二人を分けられない」って。

Mが生きているときは、いろいろ事情があったんだよね。

知らない番号からの電話は出ないとか、スマホの入力が難しくて連絡を躊躇したりとか。

そういう色々なことがあって、距離ができていたのかもしれない。


でも、Mが亡くなってから、その隔たりがなくなったんだよね。

Mとの距離は不思議とやたらと近くて、私が悩んでいても、心の中で、Mに話しかけると一瞬で悩みが消えたりする。


ずっと2時間怒りが収まらなかったのに、夕日に向かってMに相談したら、30秒で怒りがなくなっちゃう。

へなへなって、腰が抜けそうになったよ。

ほんとにあの時は びっくりしたよ。


あのときから、Mがそばにいてくれること、実感しているし、 嬉しいんだ。



30年間のわだかまりがやっと消えるような感じ、そういう意味で「ユニバーサル」になったんだよね。

亡くなったことでアクセスしやすくなった。

邪魔していたいろんな事情がなくなって、心のままに二人はいま一緒にいられる。


たぶん、こういう経験をしている人はたくさんいると思う。

あまり人に話さないかもしれないけど、私としては嬉しくて人に言いたくなるところもある。


別に人に認めてもらう必要はないんだけど、「こういうこともあるんだよ」と伝えたくなるんだ。



死や喪失に悩んでいる人は、その間は気づかないかもしれないけれど、そこから抜けると別の世界がある。


当たり前のことかもしれないけど、繋がり直せる世界があるんだよ、って心の片隅にでも置いてもらえたら嬉しいな。


そんな感じで、次の章に行くね。





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